イントゥ・ダークネスとホワイトハウスダウン

いや、ホワイトハウスダウンの方がいいよ

両作見ました。スタトレはIMAXまでわざわざ行きましたよ。

スタトレが凄いと思うのは前作でもあったとおり、パラレルワールドという設定を持ち出したこととオリジナルの設定を破るところは破り活かす所は活かすという取捨選択がいちいち正しいこと。こういう「一般に受けるにはどうするか」というところは本当にエイブラムスチームが他のあらゆるチームにも勝っている所で(ノーランチームよりも俺は優れていると思う)現代随一の“製作”チームだと思う。

が、だが、監督として彼を認めるかというとそれはまた別のお話だ。またも、またもあいつはやりやがった。どうしてだろう。どうしてラストがあんなに薄味なんだろう。かゆいところに手が届かないというか、いつもそうだ。1作目もそう。転送機能の制限を取っ払う必要があるとはいえ、星を破壊する装置があんなに簡単に壊れていいのかね。その後はただの凡百のアクションになってしまうし。(そうエイブラムスは格闘シーンの演出が恐ろしい程ヘタ。ちなみにノーランはもっとヘタ。)

そういう意味ではあらゆる意味でカンバーバッチがこの映画を救っているのであって、カンバーバッチがいなかったらただのSF映画だったと思う。この映画を一段上に挙げているのは間違いなくカンバーバッチだ。ラスト、あぁあのラスト。カンバーバッチをひたすら追いかけるスポック。まるでアベンジャーズのラストの戦闘シーンかのような戦いのシーンが繰り広げられるラスト。空飛ぶ船から船へとジャンプ・・・するだけ!!追いかけてジャンプしてなぐって銃で打って終わり!!おい!!!!ここまで引っ張ってそんな工夫もくそもないラストあるかよ!カンバーバッチは最強なのになんで正攻法で勝っちゃうんでしょうか。

最強のデススターにはただ一カ所だけ弱点があった。そこは恐ろしく細い道で相当な運転技術が必要な上にその道には多くの迎撃システムが備えられている。とか。カーンの逆襲でどのようにカーンに勝ったのかは知らないんだけど、いずれにせよ力が最強の敵には力の衝突以外の要素が存在しないと勝てる訳がないんだから、そこに頭を使ってほしい。一般人が小錦相手に寄り切りで勝てますか?勝てないから違う方法考えるんでしょ。もちろん知能も優に上回っているという設定なわけだけど、何かしら弱点を持たせることも可能だったんじゃないの。というかそれをオールドスポックから聞いて、立ち向かうという流れにしてほしかった。(そしてあの空飛ぶ交通手段も活かしたクリエイティブなアクションシーンを俺は見たかった。)

他は良かった。他は良かったがやはりラストが全てを駄目にしている。これは一作目と全くおんなじ感想だ。

一方で、ホワイトハウスダウン。こちらはエメリッヒが相変わらず平凡な仕事をしているんだけど、でもこれはエメリッヒの最高傑作だ。なんでかってシナリオが素晴らしかったから。特に展開の工夫と伏線の提示・その回収。そうスタートレックには全くない部分が優れていた。エメリッヒのキレの悪い演出のせいで途中まで入り込めないんだけど、展開があまりに強烈(ぶっ飛んでるとか針が振り切れているとかそういう表現の方がいいかもしれない。)なので途中からグッと入り込み、エアフォースワンがあーなって俺の中では「きちゃーーーーーーーー!!」になり、挙げ句に「実はまだ終わってないの。」でのこれだこれだ感と俺の好きな展開が続いたので久々に展開で満足できた映画でした。

これなんですよ。要はダイハードなんだけど、圧倒的劣勢にある一方がどのように相手を打ち負かしていくか、そしてその劣勢にあった状況が一進一退しつつ、どんどん悪化していくわけですよ。ホワイトハウスダウンはあまりインテリジェンスで解決していくタイプではないんだけど、それにしても状況がどんどん悪化していく様と最後にその失地をひっくり返す様が凄く気持ち良いバランスだから見ていて「やっぱアクションてのはこうあるべきだよなぁ」と。ありがちなのは大きな話だったはずなのに気づいたら悪役と二人で走っていることしか描写しなくなっちゃうとかなんだけど、この映画はちゃんと外の状況と中の状況がしっかり関連性を持っているから安心して見ていられる。

エメリッヒじゃなきゃあ、最高の傑作になっていたと思うけど、残念ながら。でも凄く良い一本だった。デベロップメントヘルに陥っている24の映画版はこの脚本でやっちゃえばよかったんじゃないの?あ、でも24はホワイトハウス占拠ネタ一回やっちゃったから駄目か。(しかも最悪な形で。)