「キングダム・オブ・ヘブン」を見る

連日の映画。
今日はリドリー・スコット監督、オーランド・ブルーム主演のキングダム・オブ・ヘヴンを鑑賞。
考えてみたら今日が公開日だっけか。初日です。
初日ということでマーケット調査におそらく利用するであろうアンケートをやらされました。この映画に来た動機、とか、感想、とか、DVDが出たら買うか?、とか。とりあえず本物のマーケット調査を見られて満足。

グラディエーターがヒットして以来、ロードオブザリング、トロイ、アレキサンダーなどコスチュームプレイ物が台頭してきた昨今。
なんだかヒットしたらすぐ同じ系統を狙うっていうのがなんともハリウッド的発想。
一時期パニック映画が再ブームになったときのようなもんですね。

さて映画。
リドリースコットの歴史モノということでグラディエーターを想像して見に行ったわたくし。いろんな意味で裏切られた。
グラディエーターのハデさを期待して見に行こうと思っている方。


おそらく失敗しますよ。


今回はドンパチやってロマンスあって泣けて〜みたいなことは一切なし。
甘いところも一切なし。
爽やかな感動もなし。

でも何かがグサッと胸に残ります。

要はキリスト教イスラム教の聖地をめぐる戦いをある一人の人間を通して描いたわけですが、なにぶんホット?な題材なので強く印象に残ったシーンがいくつかあります。

中でも一番印象に残ったのは・・・。

「天国はこことここにある。(頭と胸を指しながら)」

というセリフ。
さっきも言ったとおり聖地、すなはち天国に一番近い場所をめぐる戦いが今回の物語ですが、このセリフが映画の結論であって言いたいことなんだろうと思います。
また、エルサレムイスラム教徒に奪回されたところで終わるのも印象的。
パールハーバーを見ても最後には東京大空襲で終わったりと何かと自分側がやりかえした状態で終わることを好むハリウッドムービーですが、今回は違った。
また、この終わりからもわかる通り、イスラムへの一定の理解、尊敬というのが見てとれるんじゃないでしょうか。(もちろんイスラム文化を全部知ってるわけじゃないし、イスラム教徒でもないからもしかしたらステレオタイピカルな表現があって尊敬してないのかもしれないけど)
ちょっとネタバレですが最後にイスラムの大将が床に落ちている十字架を机にわざわざちゃんと置きなおすのは印象に残った。加えて、自文化以外の人間は得体の知れない怪物的表現をしちゃったりするのもハリウッドの悪いとこですが、今回はイスラム側もちゃんと尊厳を持った、尊厳を重んじる一人の人間として描かれていたのがとても好印象。戦いが終わったときのシークエンスなんかはその最たるところでしょうか。

いろいろほめたけど一つの物語、一つの娯楽映画として見たらどうなのか、と言われると合格点ギリギリ。
見せ場であろう大合戦シーンはグラディエーターでやってるし、つうか同じカットあったりして少し萎えちゃったりして、しかもグラディエーターよりすごいのはロードオブザリングでやっちゃってるし、ということで合戦シーンは見所なし。
恋愛も別にたいして描かれないのでロマンスもなし。
そもそもエモーショナルな盛り上がりが少ない。
よって娯楽映画としては凡作。
リドリースコットは以前インタヴューで何よりまず娯楽として見て欲しいと言っていましたが・・・。

それから音楽。
ハリーグレッグソンウィリアムズが担当。
日本ではメタルギアソリッド2・3の担当と言えばわかりやすいでしょうか?
一応、向こうではシュレックとかスパイゲームとか、来年にはナルニア国物語なんかを担当したりする若手〜中堅くらいの売れっ子。
実力はというとコメディー、アニメをやらせるとそこそこいい仕事をするけど、シリアスモノであまりいいものは残していない。だから今回も心配だったんですが不安は的中。
何より耳に残るテーマがないし、一貫性もないので聞いてて全く面白くないスコアだった。ただ彼の普段の仕事よりかは1段上だったのは間違いないだろう。

上記のこと理解して見に行ったらよいのではないかと思いまする。
個人的には満足。
昨日の交渉人とは正反対の映画で続けて見るには最適でした。