おまえそろそろいいかげんにしろ

日本のジェームズ・ホーナーこと佐藤直紀

遅れ馳せながら、龍馬伝第1話見ました。
脚本が福田靖ってことで軽薄にならないか、かなり心配していたのですが、思ったよりいいデキで、しかも脇役(岩崎弥太郎が凄まじい存在感!)が素晴らしいのと演出が想像以上にスピーディだったため、久々に大河ドラマの第1話として楽しむことができました。この勢いとパワーを今後も持続できればとんでもないドラマになるでしょうな。

で、もう一つの心配が佐藤直紀

大河のオープニングはおそらく日本のドラマ界では間違いなく(邦画界でももしかしたら)最もお金がかかっている音楽なので、僕は毎年どんなテーマが出てくるんだろうと楽しみにしています。昨年は特に触れませんでしたが、大島ミチル天地人は「さすが大島ミチル!」と言いたくなるくらいの素晴らしいデキで、日本人作曲家の意外な実力に感心させられたものです。今年は佐藤直紀とこれまたずいぶん「軽薄」な人選でNHKにしては思い切ったことするねぇと思ってました。いざ聞いてみたらこれがひどいのなんのって。

始まってまずどこかで聞いたことのある打ち込みのリズムトラックで「もしや」という気分になる。「もしや」と思っていた頃に表示されたクレジットが・・・

演奏:N響
うた:リサ・ジェラルド(一般的にはリサ・ジェラードだったような。)

ちょwwwおまwwwうそだろwwww
ただのハンス・ジマーのフォロワーかと思ってましたが、ここまでやりますか、そうですか。まじいいかげんにしろ。

で、さらにテーマの展開でさらに爆笑。このメロディとコード、おまえ昔使ったことあるだろ。

「リサ・ジェラード」を発見した衝撃から始まったオープニングでしたが、何度笑ったか分からない。加えて中盤の「使い回しバレバレ」なシーンではこらえきれずに大爆笑!!本編でもせっかく良いシーンだったところで「あぁ、まただよ・・・」と笑いがこみあげてしまうので集中を保つのに大変でした。

佐藤直紀ってたしかに分かりやすいし、おそらくどの人が聞いても心地の良い曲を書けて、しかも一度聞けば覚えてしまう強烈なメロディを書ける稀にみる才能を持った人だとは思います。ただしかし、ハンス・ジマーのパクリと自作の使い回しが本当にひどい。人からも過去の自分からもパクるなんてまるでジェームズ・ホーナー。ホーナーは初期こそパクリだけだったものの、その後は彼自身のオリジナリティと人からのパクリを融合させて、いやこれはたぶん褒めてはいけない気もするんだけど、それなりにワンアンドオンリーな人となりました。(もちろん彼は音楽演出が非常に巧みだったからでもあるわけですが。)しかしねぇ、佐藤直紀はただの劣化版ハンス・ジマーなんですよ。アレンジが貧弱なハンス・ジマーというか。
また、構成力とアレンジ力が全くないので展開が毎度同じ。盛り上がりどころの弦楽器のアレンジなんか毎回同じなんじゃないでしょうか。昨年の大島ミチルの構成とアレンジが素晴らしかっただけに酷さがさらに際立つ。
別に民放のドラマだったらどれだけハンス・ジマーをパクろうがどうでもいいのですが、お願いだから大河ドラマでそれをやらないでいただきたい。そもそもNHKもそれをやらせちゃだめだし、それ以外できない人を選んじゃダメだろ。だって大河ドラマは良くも悪くも日本最大のドラマであり、あらゆる意味で格調高くあるべき存在であるから。それに大した実績もない人を選んで、そいつはどっかの作曲家の真似事をするしか能がなく、しかもオリジナルの部分は自作の使い回しだなんて、言語道断。

近年だと個人的には篤姫の音楽構成が激しくつまらなくて(ただつなげりゃいいってもんじゃねーよ)最低評価でした。一方、龍馬伝は音楽構成・メロディではたしかに篤姫を上回るものの、しかしそれが全てパクリと自作の使い回しってことで、記憶にある限りの大河ドラマの音楽の中ではブッチギリで最低評価です。というわけで、ドラマ自体は素晴らしいのですが、劇伴だけが残念。これからオープニングテーマ聞くたび、苦笑するでしょうな。