ターミナルを見る。

宇宙戦争が控えているスピルバーグの近作。
レンタルはまだ始まったばっかりで新作扱いですね。
日本の宣伝を見るとなんだかまじめなしっとりした話のような印象を受けた方もいらっしゃると思いますが、これはコメディーです。親父もびっくりしてました。

さて、肝心の内容ですが佳作でした。スピルバーグとしては水準作でしょうか。細かいところや独特のカメラワークなどやはり素晴らしい。

ただいかんせん内容がそこまで突出していないのでウケなかったんでしょうね。加えて地味目な作品ということもウケなかった理由の一つでしょう。(なぜか日本人は大作映画は映画館で見なきゃという意識はあるのですが地味めな作品はレンタルでもいいと思ってるみたいです。映画館で見るのは映画館で見るという体験価値が重要なんですけどね)

それにコメディーは日本ではウケにくいジャンルの一つかもしれないですね。
だからこそ感動作という触れ込みで売り出したのかもしれません。
(そういえば日本では感動作の方がウケるとのことで、宇宙戦争のプロモーションもそうした部分を強調する展開にしているそうですよ。)

コメディーということでなかなか笑えます。ただ天丼(お笑い用語)が多すぎるかな。
どれも爆笑というわけじゃなくってふふっと爽やかに笑えるかんじです。
全体の作品のテイストもそういうしゃれたカンジがむんむんです。いいですねこういうアクションじゃないスピルバーグ作品も。

そしてこの作品の何より素晴らしいのはトムハンクスの演技。やっぱりうまいっす。今回演じる役は英語がしゃべれないロシア系なんですが、言葉の発音がロシア系なんです、ほんとに。たどたどしく英語をしゃべるんですが、それがもう絶品。うますぎです。ロシアっぽさ全開の演技は脱帽。しかも話が進むにつれて徐々に英語がうまくなっていくというあたりの役の作りこみもさすが。もう何も文句はないです。


音楽はスピルバーグ作品には欠かせないジョンウィリアムズ。
今回は小編成オケでジャズテイストも含めたスコアをつけています。よく思うんですが最近のウィリアムズはスターウォーズばりの大編成オケよりもこうした小編成オケの方が圧倒的にうまいっすね。しゃれた曲をかかせるとこの人の右に出る人は現存しないんではないでしょう。(もともとジャズピアニストでしたからね)
特にメインテーマはすばらしい。トムハンクス演じるキャラクターのちょっとぬけたかんじや、さらにロシア系であることも匂わせるスコアになっています。これだけのことを観客に一瞬でわからせる曲なんてそうないはずです。
それにエンディングはやはりどうしようもなく、音楽の盛り上がりで泣けてきます。
音楽はカンペキに近い。ウィリアムズのいいところがうまく活かされている作品と言えるでしょう。

そんなターミナルでした。ちょっとした時間があるときとか、爽やかになりたいときにはおすすめ。つまり今の俺のような徹夜のミーティングで疲れている人にはオススメってわけです。はぁ、いつ終わるんだろこのミーティング。