アイランドを見る。

またまた久々です。
夏休みに入ったくせにいろいろ忙しいです。なぜか。
そんな中1泊2日の家族旅行に行ってきたました。上高地
いやぁー涼しかったです。軽井沢が避暑地って言われてる割に、暑いことに対して昔から疑問に思ってたんですが、上高地こそ避暑地と言えるんじゃないでしょうか。
気温が21℃ですよ。下界が30℃超えてるのに。
それからかの大正池も見てきました。なんなんだあのシュールな光景は。林とかあってものすごい景色はキレイなんですけど、池の中には枯れた木がポツポツ。緑との対比もあって、独特の景色でした。荒涼としてる一方で緑いっぱいみたいな。うーん、また行きたい。

で、家に帰ったらメールが150通来てました。
来すぎたせいかルータがメールボムと勘違いして制限かけやがりました。

そんな2日間を過ごしたわけですが、今日はアイランドを見てきました。大ファンのマイケル・ベイ監督作。

マイケル・ベイと言えばグリグリ動くカメラワークに無駄にかっこいいスローモーションが持ち味です。ザ・ロックとかアルマゲドンなんかは典型的なマイケル・ベイスタイルで、小学生〜中学生のころに何度燃えたかわかりません。未だに自分が映画を撮るときはマイケル・ベイの影響でカメラがグリグリ動いてスローモーションがかかります。学生映画ってなんで固定ばっかなんでしょうね。おもしろくねえ。一回、工作が得意な友達にステディカムを作らせたこともありました。それくらい大好きなマイケル・ベイです。

スローモーションと言えばジョン・ウーですが(最近の人はマトリックスって言うのかな。)、ウーとはまた違ったカッコよさを持ち合わせているのがマイケル・ベイです。あぁ、彼みたいな映像をいつか撮ってみたい。

ですが、期待しすぎました。なんなんだろうなぁ。とりあえずマイケル・ベイはハデさとテンポが命なはずなんですが、両方とも中途半端だったのはたしかです。つか彼からこの2つ取ったら何も残らないし・・・。パールハーバーと同じようにクローンていう話題がでかすぎたのか、それとも広がりのないネタだったのか。まぁ両方が原因だろうとは思いますが、残念。

あと、マイケル・ベイスタイルが複雑になっちゃって、なかなか映像の中に感情移入できなかったってのもあると思います。マトリックスのカッコよさに熱狂した人はいたけども、感情移入した人がいなかったように。バッド・ボーイズ2の時も同じことを感じました。すげえとか、カッコイイとは思うんですけど、登場人物の気持ちにはなれなかったっす。やっぱり映像的に複雑だと目で追うのでいっぱいいっぱいでダメなんですかねえ。。。。そこまで複雑じゃない24やエイリアスはどっぷり登場人物の視点でアクションを見られるんですけどね。

もちイイシーンもあります。スターウォーズEP6のスピーダーバイクのシーンを彷彿とさせる空中チェイスが用意されてますがこれがすごい。ものすごい映像で迫ってきます。ここの処理の仕方が最もマイケル・ベイぽさが全面に出てたかんじです。スターウォーズへのオマージュなのかどうかは知りませんが音楽を付けてなかったことに少しだけニヤリ。

音楽と言えば、マイケル・ベイ作品では音楽が映像のカッコよさをかなり引き立てていることも周知の通りです。ザ・ロックエド・ハリス登場シーンのスローモーションが華麗だったのはハンス・ジマーの音楽がバックにあったからこそ、また、アルマゲドンでブルースウィリスの出発シーンにあれだけ興奮したのもトレヴァー・ラビンの音楽がバックにあったからこそです。

音楽の話に入る前に簡単にハンス・ジマーについて触れておきます。と思いましたが、これだけでワンエントリーいけそうな気がするので、次のエントリーで。それ読んでからまたこっちに戻ってきてください。

今回担当したのは、ハンス・ジマー一門の一人、スティーブ・ジャブロンスキー。彼はなぜか大友作品の「スチームボーイ」で単独クレジットデビューしました。スチームボーイの楽曲はやはりジマー臭さがあるものの、単独クレジット初とは思えない完成度の高さで映画音楽ファンをうならせました。私もうならされたうちの一人で、こいつはこれからのびるんじゃないかと密かに期待してました。

そして今回。

はっきり言います。

最悪です。映画音楽をなめてるんでしょうかこいつは。アクションシーンなんか打ち込み主体でスコアをつけるもんだから、鳴ってるんだか鳴っていないんだかよくわからないし、何より曲にノリがないのでアクションシーンで興奮しない。カーチェイスのシーンなんかは曲のせいでシーン全体が台無しです。また、メロディーが全然ないのでシーンが印象的になることもない。全部のシーンにメロディが必須ではないのはジェリー・ゴールドスミスの大成功を見ればわかりますが、でもやはりなんらかの音楽としてのアイディアは必要。そして音楽を聞かせる技術も必要。両者共にかけているので全然シーンを盛り上げてない。これじゃあ盛り上げるどころか邪魔に等しい。これにザ・ロック並の音楽が付いていればと思うと悔やむに悔やみきれない。だってもう2年はマイケル・ベイの新作は見られないわけだし・・・。(2作目以降マイケル・ベイはなぜか2年ごとに映画を撮る。)
ほんと、今回についてはたまたまの失敗であってほしい。一応、スチームボーイを描ける才能はあったわけだし。がんばれジャブロンスキー。次回作も期待しておくよ。

と、いうわけでこのアイランド。話的にはオーソドックスです。別にたいしたひねりもなく。。。マイケル・ベイにひねりを期待したら間違いです。正面衝突が彼の持ち味ですし。

で、ちょっと思ったことがありました。ネタバレになりますが、理想郷の「アイランド」は存在しなかったわけです。要は天国なんて存在しねえよってことでしょうか。よく言われますがいわゆるユートピアの幻想ですね。映画でも触れられていた通りそういう幻想があるからこそそれが原動力になってるということもあるんでしょうけど、やっぱりないものはないわけで、ないものに期待するより、あるものに期待したほうがいい。革命思想がとことん倒れたように、ないものはいつかないことがバレる。それがわかった瞬間、崩落しか道は残されていないわけです。こんなことを考えてたらリュック・フェリーのディープ・エコロジーに対する論考を思い出しました。好きだわ、リュック・フェリーの思想。

と、思わぬ展開を見せそうなのでこのへんで打ち切り。え?だってこんな論評はマイケル・ベイには合いませんから。