Disney's Rhythms of the worlds FINAL

東京ディズニーシー ディズニー・リズム・オブ・ザ・ワールド2006

ということで、ディズニーシーのリズム・オブ・ワールド。
ブラスト!の影響を強く受けている、そしてある意味では新時代のステージショーですが、それももう3年目。今年で最後、らしい。

今年版は見てないんだけれど、今までのかんじで言えば、俺としては凡作。いや、コンセプトとかは面白いんだけれど、どうも4カ国のシーンがそれぞれぶつ切りで有機的に結びつかないので、そこが、キモのはずなのに、一番面白くないとか言うわけのわからん事態になってる。意外に好評価が多いこのショーだけれど、多くの人は特殊なステージの形状と独特なダンスシーンにごまかされてるんでしょう。

ぶつ切りというのは、すなわち次のシーンへの渡しやふりというものがどのシーンにも内包されてないことに原因がある。曲を聴けばわかるけど、全部のシーンが一曲それ自体で完結してしまってる。完結しちゃいけないんだ。ぜったい。

盛り上がりっぱなしの曲があっていい。盛り上がらないで終わる曲もあっていい。しかし、どの曲もふつーに始まってそれなりに盛り上がる、という構成だったらそりゃブツ切りになるのもしょうがない。要はエモーショナルな動きとしては_/ ̄←この流れが一つのセットとなっているわけだけれど、この動きを一曲のうちで毎回やっちゃあなんの芸もない。つまりは一曲が_←だけでもなんら問題はない。もちろん一つの曲として聞けば問題あるけれど、そんなミクロな視点でショーを見ても意味がない。全体のデザインとしてさっきの流れがあることが求められるわけで、決して一つの曲に、ではない。そこがショーの構成の難しいところでもあるわけだけど。

だからリズムは面白くない。波がある分だけ他のショーに比べればマシだけど、どっからどう見ても凡作。こういうレヴューショーならミニー!オー!ミニー!やフィエスタトロピカール、クラブディズニーの方が構成としての完成度は圧倒的に高い。

と、こんなこと言ってきたけどこれは決して本題ではなくって、題を見ればわかる通り、曲のレヴューでっせ。

今年のメイントピックは、3年目にしてメインテーマを変えて来たことにある。

前々から思っていたのだけれど、メインテーマのNewYork City Beatはこのショーのテーマに全く合っていない、浮いている曲だった。まず曲調がジャズィーなテイストなので、それだけで時代背景が定まるわけだけど、このリズム・オブ・ワールドの世界は古きよきアメリカではなく、現代の世界ではないのか?たしかにニューヨークは人種のるつぼなわけで、それに着眼しアメリカンウォーターフロントパークでのショーにこじつけたコンセプトは賞賛に値するけど、しかしその後のこのショーの展開を見るとやはり不釣合いである。

フィナーレ部では現代的なアレンジが施されていたものの、オープニングでは昔々のサウンドのアレンジであって、違和感はとんでもなく残っていた。メインテーマが他のシーンにアレンジされて出てくるのかと思いきや出てこないし。なんらかのモチーフがいろんなところに残されていたらまた印象は変わったんだろうなぁと思う。


そして、今年。思い切ってメインテーマを変更し、おもっきし現代的なテーマ曲で攻めてきた。これで正解。変えたのは英断だと思う。

たしかに、曲として覚えやすさで勝負すると完全にNewYork City Beatの方が勝っている。しかし、今年の方が曲としての完成度はやはり高いし、何よりショーの全体のテイストにあっている。

さらに、優れているのはたった3音でメインのモチーフを形成していることである。オープニングでもエンディングでも何回も出てくるこの3音は確実に聞くものの耳に残るモチーフだろう。(オープニングのAメロのベース音も3音)ただ、この3音が全てのシーンに登場していると全てのシーンが有機的に結びついたのに、と思う。つまり、このショーのクライマックスである「世界の融合」を音で表現するまでには至ってない。惜しい。実に惜しい。

また、このメインテーマだが、エンディングでようやく展開がはじまる。そこでのBメロのアレンジが秀逸。特にチェイサーでのアレンジはすばらしい。トランペットとパーカッション、ギター、そして絶妙にかぶさるホルンだかの音の立体的な音の構成がよくできてる。ここ5年ではミニー!オー!ミニー!のチェイサーに次ぐ優れたチェイサーだろう。ダンスシーンのアレンジが少し弱いことに対して批判もあるが、チェイサーというシーンの役割、その後の音楽的展開を考えるとこれくらいで十分だ。(ただ短い気がしなくもない)
でも、やはりBメロも伏線が前々から張ってあればなぁ、、、と思う。つまり、全体的に音楽の伏線が少なすぎる。というかないんだけど。せっかくこの3音のわかりやすいモチーフがあるのだから、使えばよかったのに。Bメロも歌つけないで、ちょっとしたメロディーをどっかで流しておけばよかったのに。
誰かE.T的な音楽的な感動をショーで演出してくれるお方はいないだろうか。E.T.の音楽的構成は完璧すぎてぐうの音も出ない。様々なシーンであのテーマ曲の伏線を張っておいて、自転車が空を飛ぶシーンで一挙に全ての伏線が現れ、メインテーマが完全な形で高らかに演奏される・・・!!あれを超える音楽的体験を今までにしたことがない。(ブラヴィッシーモ!はなかなかいいところまで来てるけどもう一歩だな)

今の音楽家に言えることはマクロな視点で曲を構成する能力が欠如しているということだ。一曲ごとの完成度は昔と比べればそんなに変わらないだろうし、むしろ高いのもあるだろう。しかし、マクロな視点で言えば別だ。ほんとヘタクソ。見えてないんだろうか。それだけクラシックを勉強、特にモーツァルトみたいな一つのメロディーを使い倒すような人たちの作曲法とかを勉強してないからこうなるんだろうな。ちゃんと勉強しろよな、まったく。

この3音のモチーフみたいな音数の少ないモチーフで思い出すのはジェリー・ゴールドスミスだ。そういえばゴールドスミスもわかりやすく短いモチーフを作って全体の楽曲を構成したいたなぁと。リズムもゴールドスミス的アプローチを取ればもっと感動したはず。

ゴールドスミスなら3音のモチーフで一つのテーマを作って、それをアレンジしてメインテーマ・各国のシーンのテーマ4つ・ダンスシーン全部に使い倒しただろう。彼の天才的な才能があればそれくらいやってのけただろう。しかも全てのシーンに意味を持たせられたと思う。ただ思ったんだけど、テーマが一つの方が“世界は一つ”ということを音楽的にあらわしているといえないだろうか。


つーことで、残念。ほんと残念。いいところまで来てて、材料もそろってるのに!!!!!



でも見たくなったから近いうちにディズニーシーに行くことにします。