次世代ビデオはBlu-rayで統一だって、さ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080217-00000000-mai-bus_all

やっと、というべきかの決着。
でも意外と早く決まっちゃったなぁというのが最初に思った印象だけど、
さほど驚かなかったのはやっぱり今年はじめのワーナーBD独占の衝撃が
あまりにも大きすぎたからかな。
パラマウントのときとは比べ物にならない衝撃だったのは、
ワーナーのシェアの大きさもさることながら、やっぱりCESの開会の前日に発表するという、
半ば「泣きっ面に蜂」というかそこまでコテンパンにしなくていいだろw、
とBD派の僕でさえが思ってしまったくらいに、
「酷い」発表の仕方だったから、だ。
なんせあの時はHD DVD関連のカンファレンスが全てキャンセル?になったくらいだったので、
東芝陣営は本当にショックだったんでしょう。
何よりアレ以来、東芝の幹部の方がメディアに露出しなくなったのが
東芝のショックを如実に表してる。
なんせ幹部陣はラスベガスに向かう飛行機の中でワーナーの決断を聞いて、
そのまま日本にとんぼ返りしたそうで。

今回の東芝の捨て身とも言える粘り強さを見ていて思ったことは、
ハードビジネスは特許ビジネスなんじゃないかなということ。
正しく言うなら、その収益のほとんどを特許に頼ったビジネス、ということ。
ハードは儲からなくてもはやソフトの時代、なんてのが最近の流行り文句で、
要はハードウェアの差別化は難しくて価格しか差別性を見出せないから、
安売り競争になってしまい、その結果そこから得られる収益はすずめの涙、という流れ。
ハードウェアの製造で儲けられないなら、
じゃあそのハードの技術を囲い込んで特許化してしまえば、
安定的かつ長期的な収益が見込めるわけで、
考えてみればそりゃその方向に行くしかないでしょ、となる。
となればSONYや松下が規格の盟主にこだわり続けるのもよくわかる。

SONYはおそらくベータから、相当なことを学んだはずで。
(ベータの技術は業務用に生かされたはずなので甘い汁は吸ってるはず??
よくわからんこのへん。)
特にDVDのときは東芝・松下陣営に折れた結果、そのうまみを得られないまま
長い間苦境にさらされていたSONYは信じられないくらいに今回は用意周到に準備をしてた。
社運をかけてると言ってもいいくらいに。
PS3の概要が発表される前からメディアはBDを使うと宣言していたし、何よりMGMの買収。
語りつくされてることだけど、ベータは対応ソフトが少ないのが原因と、
じゃあってことでコロンビアを買収して作ったのがSPEで、
そして今回勢いあまってMGMですよ。
ここまでして勝ちたい、と思うくらいに特許料というのは大きいのかなぁと思うわけです。
まぁ、SONYの場合は儲かる儲からないの前に
「俺が規格を作って世界を作るんだ」という違う動機がありそうだけどw

今回、東芝は大博打にでてた。
なぜってDVDのSONYの時のように東芝は折れるチャンスがあったから。
どうも当時SONY久多良木さんと東芝の誰か(藤井さんかな)の
トップ会談が06年あたりにあったそうで、
そのときにすり合わせができていたら、
妥協案として東芝の特許をいくつか含んだ規格が
出来上がっていたはずなんだよね。
DVDもSONYPHILIPSの特許をいれたせいで、5ギガから4.7ギガになったわけで。
でも東芝はMSにそそのかされてか、
もしくは取り分が少ない妥協案を受け入れたくなくて結局決裂してしまった、と。
そこまでして得たい何かがきっとこのビジネスにはあったんだろうな。

ハードが儲からないと一番理解していたのはもしかしたらSONYかもしれなくて、
今のSONY液晶テレビの戦略は、明らかに儲けようとは考えていなくて、
あくまでつなぎとしかとらえていないのかもしれないと思わせる。
今のSONYはテレビが売り上げで持ち直したおかげで復活したわけだけど、
それを支えた大英断はプラズマの製造をやめて、液晶に一本化、
そしてパネルはSAMSONとの合弁会社から供給する、というものだった。
合弁とは聞こえはいいものの、
要は自社生産じゃなくてSAMSONに丸投げしますということで。
で、そもそもSONYが傾いていたのはたしか、有機ELに期待しすぎた結果、
薄型で一挙に遅れをとったから、だったはず。
で、ここまで遅れたのだから
このフェーズでの勝負はあきらめて来るべき液晶の次の世代で勝負をしよう、
という意思決定が内部でなされたのではないかと
僕は考えているんだけどどうなんでしょーね。
というのもSAMSONのパネルを使ってる分利益率は相当下がっているはずだから、です。
それにあのSONYが理由もなく外の製品を使うはずがないので。
で、結局今有機ELを製品化できているのはSONYだけで、
この勢いを保ったままさらなる大型化・低コスト化・長寿命化に成功すれば、
次の世代のテレビの覇権は必ず握れるはずで、
シャープってそれなんの会社?っていう事態にもなりかねない。
そうすれば有機ELの特許料が入ってウハウハなはずなんですよ。

このとき決断したのはたしか久多良木さんで、
彼の先見性というのは本当にもっと評価されるべきなんじゃないかとつくづく思う。
ちょっと傲慢なのでネットでたたかれまくっていたけど、
PSPPS3のコンセプトは考えれば考えるほど、
そして時代が進めば進むほど、唸るしかない先見性を持ったものであったことが分かる。
それはBDの採用なんていう程度の話なんかじゃなくて、
彼が描いていたPS3を核としたホームエンターテイメントのネットワーク、ね。
PS3は今でも実力をフルに使っていないし、
構想されていたものの半分も実現されていないはずだけど、
これまで信じられないくらいに成長してきたこの機械を見ていて、
なんと夢のある機械だと思うわけです。
我が家ではもしリッピングされたMP3やWAVのアップコンバートに対応してくれたら、
PS3がオーディオプレーヤーの母艦となる予定です。
ついでにWalkmanの転送も対応してくれたらもうPCなんかいらなくなる。
現時点でさえそんないろんなものの代替になってしまうくらい、すごい機械だなぁとつくづく思います。

就職活動中に何度かSCEIにも伺ったことがあるのだけど、
彼らはどうも日本のアップルになりたいみたいなんだよな。
けっ、何言ってんだとアンチソニーとアップルファンの方はいうかもしれないけど、
久多良木さんという希代のヴィジョナリーが会社に残っていたらアップルどころか、
それ以上の会社になれたんじゃないかと僕は思っています。
PS3も出るのがあと3年遅かったら大拍手で迎え入れられていたはずだけど、
いかんせん出るのが早すぎました。
PS3最大の失敗はその価格戦略ではなく、出す時期を見誤ったこと。
僕を含めた一般ピープル久多良木さんの描いたことが全く理解できなかったわけです。
(といいつつ最大の原因は博報堂が広報戦略ミスったせい。
DS&Wii=電通に比べて情けなさ過ぎる。だから博報堂は永遠に電通に勝てないんだ。)

アップルもiPodの成功でもてはやされてるからいいものの、
ジョブズたんも久多良木さん以上に激しい人だわな。

HD化ということではSONY戦略の中でBlu-rayPS3は核にあるはずで、
今回の統一はSONYにとって復活宣言に等しい。
一方、東芝は、こんなに早く決断してくれたのでむしろ傷は最小限に収まったはず。
だって、PS3ビジネスの赤字よりも少ない赤字で済んだんだから、
そんなに大きな問題にはならないでしょう。
ということでこれからHD化を推進する足かせはついになくなりました。
HDコンテンツなんかいらないよ、DVDで十分だろ、なんていってる人もいっぱいいるけど、
HDTV買ってみな。もう後戻りできないはずだから。
BDでオペラ座の怪人を見たんだけど絵も音もすごすぎて度肝を抜かれました。
これでスターウォーズなんか見られると思うと楽しみでしょうがない。
東芝も早く録画機をBDで出してくれないかなぁ。録画機はやっぱり東芝だろ。うん。
ということで、めでたしめでたし。