東京ディズニーシー「ハーバーサイド・クリスマス」

ハーバーサイド。そう東京ディズニーシーに行ってきましたよ。11月22日のことだったんですけど、次の日が休みなこともあってか午後から人が急に増えてびっくり。平日なのにいなんでこんないるんだ!みんなちゃんと学校とか会社行けよぼけ!!!(俺も。)

[ミニーのナットクラッカー]

クリスマスイベントの看板ショーであるナットクラッカー。アメリカンウォーターフロントの特設ステージで実施される30分弱のミュージカルショー。このウォーターフロントパークってたしか2年前からなんですよね。オープン当初はあそこに何もなかったけか。。。と感慨にふけってみる。

肝心のショー内容。基本的にはくるみ割り人形のバレエを基にして、組曲から有名な曲を抜粋し再構成。で、個人的に最も心配なのはクリスマス=くるみ割り人形というのが結びつきをわかる人がどれだけいるかどうか、というところ。ネット上のレビューをいくつか読みましたけど、クリスマス気分がない、なんて言ってる方もいました。あと、内容についてもいろいろ書いてありましたが、どうやらその人くるみ割り人形の話を知らないらしく。。。。たぶんそんな人が多いんだろうと思います、日本人は。俺もストーリーはなんとなく知ってましたが、そのもの自体は見たことがない。頭悪い人は「なんでクリスマスにくるみ割り人形なんだ。」とか「ミニーの夢って(ドラマティックディズニーシーの)WISHと変わりないじゃないか。」とか・・・閉口。基本的にこういう人たちって自分の無知をショーの評価に結び付けるので、だいたい批判に走る。こういうヤツにこれ以上もうコメントしたくない。

たぶん、無知の状態をデフォルトとして楽しめなきゃだめだとかって言うんでしょうけど、その批判はお門違い。と、なんだか話がずれてきた感があるのでもとにもどす。

一言で言うと良いんじゃない?というかんじ。でも見た環境が良くないので(前の人が座高高い&逆光&照明効果なし)、見る環境がもっと良いとまた感想が変わるかも。オーソドックスなミュージカルショーは考えてみたら久々に見たのでなんだかんだで好感触かも。

構成はまぁまぁで、シーンごとの時間配分がちょうどいい。ただ基のバレエからの曲を限られた短い時間の中にかなり詰め込んでしまっているので、かなり駆け足でシーンが変わってしまうのが残念。なんだか印象としては派手なシーンはがちゃがちゃやってと思ってたら急にトーンが変わってしっとり、でまたがちゃがちゃ、みたいな。非常にあわただしい。TDL20周年のリメンバー・ザ・ドリームの時にも思いましたが、もう少しシーン数を減らしてやりたいことっていうのを明確にし、単なる“抜粋”で終わらせないことが大事なんだろうと思います。つまりはなんらかの新しいテーマを作って、そのテーマに合うもののみ抜粋する、という方法です。Rayのレビューのときに

まぁレイ・チャールズの半生を黒人差別反対でくくるのもおかしいと思うので正解でしょう。だったらあの終わりにするのは間違い。とにかくこの映画のように人生を追い続けるだけの場合、なんらかのメインテーマがあって、それの解決を以って終わらす以外に道はないわけです。

と書いたのと同じようなことですね。

しかしなによりオープニングが弱い。序盤から劇モードに入ってしまうので、なかなか加速しない。それが残念。んで、観客の心をつかまないままミニーの夢っていう次の展開に移行してしまうのでうーむ。。。というかんじ。もうちょっとリフトを巧く使ってればまた違うオープニングができたんでしょうけどね。

あと、エンディングもファーストフィナーレとセカンドフィナーレに分かれてますが、どうもセカンドフィナーレの必要性を感じない。いや、たしかに1stだけではエンディングとして弱いのも事実。でも弱いという理由以外に2ndの存在理由=アイデンティティが思いつかない。それだけで2ndを入れてしまうのはあまりに安易だ。いや、たしかに自分がディレクターだったとして、もちろん2ndを入れるだろうけれど。でもやっぱりなんらかのストーリー的なよりどころを作っておくべきだった。あったのかもしれないけれどそれを“テリング”できてない。

ただ、フィナーレ自体のデキはすばらしい。特にダンサーの配列がとても巧いのでステージとして一体感が出ていて美しいです。最近こういう振り付けを見ていなかったので、感動しました。ステージの構造が特殊(T字ステージで│の部分はスケートリンク)にも関わらず一つの絵がちゃんとできていた。かなり実力のある振り付け師が手がけたことでしょう。

音楽。音楽はおそらくいつものアレンジャーを使っているんだろうと思いますが、冒頭のオーバーチュアのデキがすばらしい。巧く、くるみ割り人形の名曲群を一つの曲にまとめてあって好印象。ただ、ちょっと長い。1分くらいあったと思うんですけど、観客のガマンの限界としては30秒くらいかなと。また、2時間モノのミュージカルならぜんぜんこの長さでも問題ないですけど、30分ものなので1分もあるとそれに占める割合からも長く感じるはず。



というかんじなナットクラッカー。いろいろ言ったけどミッキーとミニーのスケートシーンは美しいですよ。巧く演出されてる。それだけのためにでも見る価値はある。

(最近、流れ解散的なチェイサーが増えましたけどなぜでしょう。個人的にミッキー始めキャラクター達が音楽と共に消えなかったのは不満。リフトあるんだから使えよ。)

[キャンドルライト・リフレクションズ]

実は去年にも見ていたこのショー。個人的にはあまり好きではない部類。静的なショーはあまり好きではなくて、ボレロをベースにした曲を聴いてて徐々に電気が点いていくのを見てるとイライラします笑。たぶんこれの半分の長さなら好きだったろうと思います。

とこれは好みの問題なのでパス。好みとデキを一緒にしちゃあいけません。てか、こんなこと言いつつもキャラの使い方が巧いので、それは感心。あのタイミングで出されたらたぶん誰も文句言えないでしょうね。ただ、その後の歌の最中になんの変化もなしにキャラがキャンドル振ってるだけであれだけの時間をもたせるのは少しやりすぎ。なんらかの変化をもっとつけるべき。


音楽。これをやったアレンジャーはどっちかというとビートの利いたポップスをやらせると巧い人で、実はオーケストラサウンドはあまり巧くない、と思う。全体的にリズムセクションの使い方が巧くない(いつもシンセのパーカッションに頼ってるからこういう基本技ができないんだ)からもっさりしたサウンドになるうえに、金管に無理をさせるオーケストレーションをするので聴いてて息苦しくなる。カリフォルニアアドベンチャーのアラジンのショーの曲も聴きましたがまさに同じ印象。で、その後の島田歌穂が歌うWelcome to Christmasになってから急に曲調が変わるのもナゾ。全体的な雰囲気を大事にして欲しかった。大仰のオーケストラサウンドで始まっているのだから、ポップスやりたいなら、せめて歌の最初をオーケストラサウンドから始めるべきだった。


そして花火(パイロ)。今年から変わりましたが、これが良くない。ブラヴィッシーモプロジェクトが始まってからというもの、ディズニーシーのパイロ演出はスパイラル(円上に花火の発射位置を設置し、それを順番に連発する技。花火があがった状態が螺旋を描いているように見えるのでこう名づけられた。)が増えましたが、バカの一つ覚えのようでとても良くない。ブラヴィッシーモパイロ演出を担当した世界最高のパイロアーティスト(個人的にはそう思う)の技をパクるのはいいですけど、そればっかじゃただの能無しですよ。また、さらに今回は「パイロを音楽にあえて合わせない。」というそのアーティストのポリシーまでパクって演出しましたけど、これが全部からぶり。ひどい。
そのアーティストの場合は音楽に合わせないけれども、全体として見ればパイロも一つの楽器として成り立っていてそれも含めて音楽になっている、というのがすばらしいわけで、単にあわせていないわけじゃない。つまり、彼にとってはパイロは音楽に従属するものではなく、音楽と同等であると考えているわけです。そこが革命的だった。というのもディズニーが音楽花火を始めてからというもの、花火は音楽に従属する存在でしたからね。それはブラヴィッシーモを見ればわかるはずです。ブラヴィッシーモパイロ演出は完璧ですから。

で、ここで戻って音楽に合わせる、合わせないの話。音楽に合わせないという、のはかなり勇気のいる行為。だって一小節ごとに花火を挙げるのが最も簡単だし、そんな音楽的ポイントはどんなに音楽がダメなヤツでも発見できるからです。逆に言えばそのポリシーを持つ限り相当な音楽的センスと演出のセンスがなければ全てがダメになる、ということ。ただパイロの発射音が空虚に空間に響くだけになります。なぜ空虚か。答えは簡単です。音楽に合っていないし、それ以上に音楽にもなっていないからです。
キャンドルライトではまさにこの状態に。。。特にこういう“静けさ”で勝負するショーには全くの逆効果。パイロの発射音が単なる雑音になってしまいショーの雰囲気ぶち壊し。もうなんか、、、変な背伸びとかしなくていいし、そりゃ俺だって一小節ごとにあげる安易な花火なんてクソだと思うけど、背伸びして駄作ができるよりはその方がいいです。しょうがないっす。来年はパイロのやり方とかポリシーあたりから見直してください。模倣をやってる限りオリジナルは絶対超えられませんし。見苦しいです。


こんなかんじのクリスマス。ほんとはブラヴィッシーモ見ましたけど、別格なのでこんなエントリーに書くわけにはいきません。というか単なる1日の出来事として書くなんて恐れ多くてできませんわい。


「ミニーのナットクラッカー」

ショー:★★★☆☆
構成:★★★☆☆
演出:★★★★☆
音楽:★★★★☆
フィナーレ:★★★★★
Over all:★★★★☆


「キャンドルライト・リフレクションズ」

ショー:★★☆☆☆
構成:★★☆☆☆
音楽:★★☆☆☆
演出:★★★☆☆
パイロ演出:☆☆☆☆☆
Over all:★★☆☆☆


ちなみに。。。

ブラヴィッシーモ

ショー:★★★★☆
構成:★★★☆☆
演出:★★★★★
パイロ演出:★★★★★
音楽:★★★★☆
美しさ:採点不能(←素晴らしすぎる場合こうなる。)
Over all:★★★★★