ヴァン・ヘルシング

ヴァン・ヘルシング [DVD]
*今回のレヴューはちょっと性格が違います。

バカにバカって言うヤツほどバカなヤツはいない。見たものを見たままに表現するのは能がないというかやはりそれはバカな証拠だろう。というのも、バカなヤツを見てバカと言うのはバカだろうが天才だろうが誰もができることであって、つまりは誰にでもできることを首を取ったかに表現するのは自分がバカであると世間に向かって叫んでいるに等しい。

このヴァン・ヘルシングは非常に批判の多い映画だ。しかし、批判する人たちよ、この監督がスティーブン・ソマーズであることを忘れてやいやしないか?スティーブン・ソマーズと言えばハムナプトラで名を上げた「バカ映画」の監督だ。

この監督の特徴は「バカをクソマジメにやる。」であり、どこぞのかっこつけた難解で誰にもわからない文芸映画とは180度性格の異なるものだ。ひたすら貪欲にこれでもかこれでもかと派手なシーンを入れようとするサービス精神は尊敬に値する。

その精神はヴァン・ヘルシングにも受け継がれており、ソマーズ節が炸裂する快作である。何より往年のユニバーサル映画のモンスターたちがオールスターで登場することから彼のサービス精神を見て取れるし、また、これは俺の最も好きなシーンなのだが、通常ではありえない連鎖でアクションシーンをつなげていったことには呆気にとられたというか劇場で大爆笑したくらいだ。なんてバカなんだ。すばらしすぎる。

ある人は(俺の所属する組織のOBですけど)、モンスターが入り乱れることについて、製作者側の浅はかな魂胆と表現してますが、これが最もわかってない発言。ソマーズはやりたくてこれをやってるんだ。そしてこれこそが彼なりのサービス精神なんだ。

そしてこの映画にストーリー性を求めるのもまた間違い。ヴァン・ヘルシングの正体とかはっきり言ってどうでもいい。なんでかっていうとソマーズはどうせそんなことは考えていないので考えるだけ無駄だからです。ソマーズは半ばギャグとしてこれをやっているにすぎない。彼の場合、ストーリーはアクションシーンをつなぐためのただのつじつまあわせの手段でしかなく、何かそれで伝えたいことがあるはずがない。

つまりは、ヴァン・ヘルシングはお祭り映画なんだ。ただひたすらえらいこっちゃと騒ぎまくって、うおーーーってテンションがあがってそれでおしまい。余韻とかなんもなくって、ただ爽快な気分が残る。いいじゃないですか、こういう映画。ここまでくると出来・不出来の問題ではなく、好き嫌いの次元で議論をしないと議論が無意味にすれ違うことになる。

だからこの映画についてくそマジメになんてストーリー性がないんだ!と批評してしまうのはバカにバカって言うのと同じ次元であるということだ。


要はバカなんだよな。

ヴァン・ヘルシング

映画:★★★☆☆
バカ度:★★★★★
音楽:★★★★☆
Over all:★★★★☆