ミュンヘンを見る。
今日は水曜日。レディースデイだ。そうばばあ祭りの日だ。
ヒマをもてあましているババア共の巣窟と成り果てた映画館はあたかもイスラエル人選手を人質にとった黒い9月のごとく、僕を恐怖のどん底へと突き落とした。
異様に混んでいる映画館はいつもは隣の席は空けてくれるのに今日は空けてくれない。指定席だからしょうがないのだけれど。
そして隣には例のごとくババアが座る。見た目の描写もしなければならない気もするけど、いわゆるババアというくくりで語れるババアだったのであえて描写しないことにする。
そして予告編が始まるちょっと前。ババアは動き出した。ババアはおもむろにカバンの中に手をつっこむとあるものを取り出した。
それはそれから見ることになるミュンヘンのラストシーンに勝るほど劣らない衝撃を僕に与えたのだった。僕はついつぶやく。
「水筒を映画館に持ってくるなよ・・・。」
ババアは水筒に入っているお茶だか麦茶だかを飲んで満足したらしくイスに深く座った。銀紙で包まれたおむすびがでてこなかったのが唯一の救いか。
ミュンヘン、上映開始。
黒い9月が人質を取る。固唾を呑んで見守る僕。そしてかのような結末を迎え、さっそく重い気分になりながらも、妊婦のセックスシーンに興奮する僕。ふと横に目をやると、妊婦のセックスシーンに勝るとも劣らないシーンが目の前で繰りひろげられていた。
僕はついつぶやく。
「ババア寝てるよ・・・。」
ずっと緊張感が続くシーンで、しかもダレるシーンでもないのになぜか寝るババア。寝るなら家のこたつで寝ろよババア。1000円払いながら寝床を探し続けていたババアに脱帽。
ちなみに後ろに座ったババアは劇中にビニール袋をかさかさやりなが菓子食ってるし、前のババアはエンドロール中に堂々と出て行くし、まじババアは黒い9月よりも悪質でそして僕は黒い9月に対する西ドイツ軍よりも無力だった。
もう水曜日に映画なんか見に行かない。
『ミュンヘンで隣にいたババア』
ババア:★★★★★
水筒:★★★★★
ババアの眠気:★★★★★
俺の疲労度:★★★★★
Over all:☆☆☆☆☆
単にうざかっただけなんだけど。
(*写真は隣のババアの水筒を見たときの僕のリアクションのイメージ図です。)