ファイナルファンタジー12を遊ぶ。

ファイナルファンタジーXII 特典 FFXII/iTunes Custom Card(※iTunes Cardとしての使用有効期限は切れています)付き

久々にしっかりとやったゲーム。いつ以来だろう、こんなちゃんとやったのは。もしかしたらメタルギアソリッド以来かもしれない。

FFといえば、個人的にはドラクエよりも好きな部分があって、けっこう好きなシリーズだ。小学生からやってるけど、未だに最高傑作は4だと思う今日この頃。ま、ストーリーがまんまスターウォーズじゃねえか!って言われると言い返せなくなるけど、様々な面でバランスが取れていたのが4なんじゃないかなと思うのだ。
ファイナルファンタジー4

たぶん、FFとしての大きな転換点はみんなは7って言うんじゃないかなと思うけど、僕としては6なんじゃないかと思う。というのも、6あたりからどうも全体的な色調が変わっていった気がするのだ。4や5が原色系の緑や青のイメージだとすると、6は黄土色とか茶色っぽい、なんというか中世というわけじゃないけど、ちょっと暗くて退廃的なイメージへと変わっていった。ただ、4と5を遊んでいる人にとっては一応まだFFだった。

初3Dとなった7ではその退廃的なイメージが受け継がれて、妙に暗いけど明るいスラム街が出てきたり、途中主人公が精神的にダメになったりと、昔の明るいFFはどこにいったんだろうなんて思えるくらいに変わってしまった。このへんからFFというタイトルはドラクエのように一貫性のあるシリーズではなく、一つのブランドに成り下がったと思う。もちろん、成り下がることが悪いこととは言えないけど、昔からのファンとしては少しばかりの違和感を覚えざるを得なかった。ただ、その代わりといってはなんだけど、新しいファンが増えたのもこの作品のおかげなんじゃないかと思うから、FFの移り変わりをファン層としてみるのであれば大きな転換点となった作品だ。
PS one Books ファイナルファンタジーVIIインターナショナル

そして、8となって僕は愕然とした。8はプレステの最盛期であったこともあって、FFとしても最も派手であった作品だろうと思う。初主題歌がついたりとなかなか話題になることも多かった。映画でいうとジェットコースタームービーっていうんだろうか、序盤からのストーリーのスピード感は7と共に特筆すべきものがあるけれど、ストーリーの一貫性という面では少々の疑問を感じたし、何よりもなんだかナンパなゲームになったもんだなぁと、つまり昔のFFとは完全にこれで決別したのねと思わせる作品だった。ちなみに僕はこれが一番嫌いだ。

昔のFFから完全に脱却した流れが続いてきた中発売された9は、今までの派手路線を否定するかのごとく、昔のFFを再現(あくまで再現)したかのような、しかも多少地味な作品だった。僕としてはこの回帰を歓迎した記憶があるけど、やっぱりなんというか違和感を感じたのも事実だ。昔のFFを目指していることは伝わってきているのだけれど、しかしそれは全くテイストが違う別物だった。これならむしろ完全に断ち切った7や8の方がいいかななんて思ったくらいだ。でもこれはこれとしてそれなりに気に入ってる1本だ。

ハードをPS2に移して発売された10は、7,8の路線を引き継いでいた作品で、僕としてはもういい加減飽きてきた。初めて声があてられたこともあって、僕としては不安でいっぱいだったんだけど、それは半分あたって、半分はずれた。つまり、声が入ることによってよくなった点もたくさんあったということだ。でも僕はセリフの不自然さがどうも気に入らなかったッス!


長くなりすぎたけど、ようやく12について書いてみよう。12は7から続いた近代FFの流れをまたも完全に断ち切り、それでいて初期FFの色ともまた違う色に仕上げつつも、なんとなくFFの香りがするという正統進化を遂げている1本なのではないかと感じた。もちろん、ベイグラントストーリーファイナルファンタジータクティクスとどう違うのかと言われると答えにくいところがあるけれど。

特筆すべきは戦闘システムの進化で、僕としてはこの戦闘システムを歓迎したい。思えば4でそれまでのRPGの常識を打ち破るアクティブタイムバトルを取り入れてからというもの、10を除いてそれのマイナーアレンジで続いていた。しかし、今回はアクティブアイムバトルのシステムのいいところを保ちつつ、新たな側面を持たしてきた。11をやったことがないのでわからないけれど、11と似たシステムらしいが、僕としてはすんなりこのシステムになれることが出来た。

その他、ゲームとしてのFF12は一つの芸術作品ではないかと思うくらいに、インターフェースなどの通常のゲームならばストレスに感じてしまういくつかの細かい事柄がノンストレスで操作できる。親切すぎだろ!といいたくなるくらいに完成されたあらゆるゲームシステムは賞賛されるべきだろう。

ネット上ではストーリーに関しての批判が最も多く、駄作だ!との声も多い。おそらく駄作だ!といっている人の多くは7からの流れに慣れてきた人ではないだろうかと思う。もちろん一貫性が壊れてしまっている点や、一部匂わせるだけで捨てられてしまったプロットは批判されるべきものだろうと思うけど。

今回のストーリーは7,8,10のナンパ路線に比べるとかなり異質だ。たぶんストーリーの本質は歴史を切り開くのは誰か?ということなんだろうとおもうけど、これを聞いただけでいつものノリとは大幅に違うことがわかるわけだ。また、本質以外にも基本的には国同士の政治的な対立をストーリーの推進力としているので、8のように個人的な事柄で話が進むものとはわけがちがった。

たぶん、各人がFFに対して描いているイメージの衝突が今回の賛否両論を起こしているのではないかと思う。それだけFFというのは歴史があって、そして人気があるシリーズなのだ。また、ドラクエとは全く性格の違うシリーズのブランドがあるということなのだ。もしこれがFFというタイトル以外のタイトルで発売されていたら多少評価は違ってきたのではないだろうかと考える今日この頃だ。

だから結局は好みの問題になってしまう部分が多くあるのだけれど、僕としては今回のFFのテイストは大好きだ。そして何か昔のゲームの匂いがする部分も大好きだ。昔のゲームといえば、ストーリーは進むものの、次のダンジョンまでが長かったり、敵が強いからレベル上げやカネ稼ぎに時間が取られてしまったりとストーリーは緊急性の高い内容にも関わらずなかなか先に進めなくてしょうがないから寄り道するなんてことが多かれ少なかれあった。これの流れに反抗したのが7や8だったと思うんだけど、これの流れをまた昔に戻した感が今回のFFにはとてもある。

もちろん両者にはいいところも悪いところもあって、どっちがいいなんて人によって違うから断言はできないけど、ゲームとしては今回のFFみたいのがいいんじゃないかなって思った。っていうかなんだかやってて懐かしさを覚えたくらいだ。

ムービーや音響はなかなかすばらしくて、伊達にパッケージの裏にTHXのロゴマークが描かれていないなと思った。ただ、効果音がかなりの部分でスカスカだったけど、ゲームとしては最高レベルなんじゃないかと思う。映像はちょっとスターウォーズロード・オブ・ザ・リングを思い出してしまう部分が多々あったけど、再現できるだけでもすごいことだなんて思ってしまうのは少々甘いんだろうか。


ここまで書いてきたけど、これこそがFFの5以来の正統進化版ではないかと思う。それだけに各所のツメの甘さは残念だけど、ぜひともこの流れを継承してほしいものだ。


ファイナルファンタジー12』

ゲーム:★★★★★
映像:★★★☆☆
(クオリティならば:★★★★★)
シナリオ:★★★☆☆
システム:★★★★★
音楽:★★★★☆
音響:★★★★☆
Over all:★★★★☆