インサイド・マンを見る。

僕はまた過ちを犯した。
もう繰り返さないって心から誓ったはずなのに。


ああ、なんて僕はバカなんだろう。あんなに辛くて悲しい思いなんて2度としたくないよ、ってあの2月に誓ったのに。しかし、性懲りもなくまたもや同じ過ちを犯してしまった。

しょうがないんだ。しょうがないんだ。だってもうこうする以外に求める気持ちを抑えられなかった。こうする以外に欲望から離れる術はなかったんだよ。

今日は水曜日。。。あの日もそういえば水曜日だったっけ。
忘れたくても忘れられないあの悲劇。
今思い出しても涙が出そうだ。


そう、また*1水曜日に映画見に行っちゃったんだ・・・。

ババアは家でこたつに入ってワイドショー見てろよ!!!!


ということで、なんでババアが見るのかよくわからないこの映画、インサイド・マン

急に話はころっと変わるけど、超映画批評という映画ライターの方が書いているレヴューサイトがあります。http://movie.maeda-y.com/index.html
このサイトとはほんとにソリが合わないというか、このライターの方とは全く趣味が合わない。趣味が合わないと書くとなんか一般的にはこのライターの方の価値観を否定してるように受け取られるかもしれないけど、そういうわけではなくて、デキがよい、云々の前に、この人と僕の好みは全く違う、ということ。ただそれだけ。いろいろ読ませていただいているけど、どうも評価に首をかしげることが多い。僕としては僕の趣味とは違う人が同じ映画を見てどう思うのか、っていうのを知れてとても興味深い。

なんでこの話がでてきたかというと、彼はポセイドンを批判している一方で、インサイド・マンを絶賛しているからなわけで、つくづく彼とは意見が合わないなぁなんて思ってしまったからだ。合わないは合わないなりに今までは「まぁそう思っても仕方がないだろうなぁ」思いながら、一応理解はできることがあったんだけど、今回ばかりはそうも行かず、インサイド・マンの評価には全く同意できなかった。


インサイド・マン、なんとも退屈な映画だ。


この映画に観客をひきつける要素はいくつかあって、巧い具合にナゾがちりばめられている。そして脚本も丁寧に作ってある感があって特に展開が飛んだりとかっていう印象はない。ここらへんは最近のハリウッド映画にしては上出来。

で、何が問題かって、銀行強盗っていうなんともスリリングな題材をなんだか知らないけどもっさり描いてて全く緊迫感が画面から出てこないこと。全く題材を生かしきれていない内容に僕は腹が立ってしょうがなかった。もどかしい思いというべきかな。

さらには、結局この映画で何がしたかったがわからない。物語上のゴールが全くもって不明。何かしらの問題解決を以ってしか物語を終えることは出来ないのに、そもそも問題が設定されてないし、それなのに問題の解決ができるはずがない。

致命的なのは、事件が起こってる最中に被害者のインタビューを挟んじゃったこと。あれで被害者は生き残ったってわかっちゃうじゃないか。もちろんそれがこの映画の主題ではないんだけど、人質事件のキモって人質が殺されるかどうかのところであって、そこに緊迫感が生まれるんじゃないんかなぁと思うわけだ。それなのに、あえてそのオチを事前に明かす必然性ってなんなんだと思って考えてみるもたいしてないわけで、別にこれは事件の後の捜査に挟み込んでおいた方がむしろよかったのではないかと思う。

また、銀行強盗の手段もさして斬新というわけでもなくどっかで聞いたことがあるというか、たしかに今までやったことがなくてもひっくりかえるくらいにビックリする手段だった、というわけでもなく。で、それがオチに結びついているかと言われると、たしかに結びついているとも言えるんだけどたいして強いつながりでもなく。

なんだか全てが中途半端なフリで終わってるのが酷い。描きすぎないのが大人の映画、とか言ってるけど、描きすぎないどころか描いてないだろこれ。いや、犯人の目的とかは主題でないとすれば別にいいんだけど、銀行の会長の話とか犯人がどうやって生き延びたとか見て、ついついそれだけかよ!!とツッコミたくなること多数。こんなどうしようもないオチを見せ付けられるために2時間弱耐えたのかと思うとバカバカしくなる。っていうか本編は耐えるという言葉が似合うくらいに退屈だった。

主人公が知ってる事実と観客が知ってる事実、そして観客しか知りえない事実とか、いろんな事実がある中で、そのバランスがサスペンス映画では大事なわけなんだけど、そのバランスが全部壊れてる。最後のオチ見てひっくりかえるヤツなんか誰もいないだろ。だって、数分前に既に明かされている事実なんだもん。

そして、音楽。これが最悪。こんなもの劇伴なんて呼んだら天国のジェリー・ゴールドスミスが泣く。緊迫してるはずなのになぜかそのシーンとは無関係なところで流れているモチーフが出てくる。まじなぞ。で、緊迫したシーンでこんなけだるいサックスなんか流されても困るよ、どきどきできないよ、っていう音楽だらけ。はぁ、どうしてこうもしっかりとしたスコアリングができないヤツが映画音楽なんて作ってるんだろ。ほんと、どうしようもないスコアだった。映画音楽がこんなんばっかになったら映画は死ぬだろうなぁ。。。




デンゼル・ワシントンの笑顔で終わるこの映画だけど、観客みんなはこう思ってる。


「おい、そのオチを今まで知らなかったのはお前だけだよ。」

サスペンス映画として最悪のオチだろ、これ。


インサイド・マン
映画:★☆☆☆☆
音楽:Bomb!
ビックリ度:☆☆☆☆☆
Over all:Bomb!