007/カジノ・ロワイヤルを見る。
やばい。
90年代以降の007の中では最高傑作。間違いない。中盤以降のめりこんでしまった。映画にのめりこむなんて久々だよ。
いろいろと言われまくってるダニエル・クレイグボンドのデビュー作であるところの今作だけど、僕の期待以上のパフォーマンスをダニエルもその他役者陣、製作陣も含めてその全員が発揮してくれた。
何がいいって、この歴史あるシリーズには数多くのお約束があるわけだけど、それについていい意味で意表をつきつつも、しかもお約束も果たしてしまうという脚本・演出的にミラクルなことをやってのけていること。始まってすぐ「え。。。」と思った人は多いんじゃなかろうか。で、「え。。。」と思っていたらあのガンバレル！やばい！！あそこで僕は激燃え。かっこよすぎる！！！というかここでこうもってくるかよ！！！！！というなんともいえない衝撃。あれだけで「今作は違う。」と興奮してしまった。
ボンドの構成と言えばガンバレル→大きなアクション→オープニングシークエンスだったんだけど、これを壊したことが興奮につながったかな、と思う。というか90年代後期の007なんか個人的にはオープニングアクションの終わりが映画の終わりで、なんでかってオープニング以上に興奮するシーンがそれ以降に出てこないからだ。いつも尻すぼみ。で、オープニングシークエンスも007っぽさを失わずも新たな感じ（そういえば女が出てこなかった？）にしていて好感。ダサいって？何を言う。あれが007のオープニングだ。
話の内容もいつになく複雑かつ登場人物の心境を描いていて好感。特にボンドがあそこまで真剣に女を愛してるのも初めて見たし、ボンドガールがあそこまで重いものを背負っているのも初めて見た。まぁ、全部見たわけじゃないんだけど、このシリーズ。
秀逸なのが伏線の張り方。カジノ対決（関係ないけど変換したら「家事の対決」になった。どんなんだよ。）に興奮したのも「オールイン」なカジノ対決をさりげなーく何回か事前に見せているからだし、ボンドガールの気持ちの移り変わりになんとなく観客が感情移入できたのも「あの」プロップスを事前に出したおかげ。まさか007で話の内容について褒めるなんて夢にも思ってなかったけど。
そしてキモのアクションシーン。これがすばらしいのなんのって。特に中盤あたりの飛行場のシーンが。。。いやーあそこまでやってくれるアクション映画最近ないよ。ほんと興奮しっぱなし。劇中に拍手したくなったくらいだ。スピーディーかつ奇をてらわない編集が特にすばらしく、やはりスチュアート・ベアードはわかっている人だなと感心してしまった。ダイ・アナザー・デイなんかで早送り・スローモーション・巻戻しな編集が最初のアクションシークエンスで出てきたときには、あぁ、007までもがこんな編集かよ・・・、と絶望してたところだったので、この硬質なアクション演出の回帰を素直に喜びたい。
音楽は4作連続登板のデヴィット・アーノルド。トゥモロー・ネバー・ダイではオケ中心だったけど、徐々にシンセの比率が高まりダイアナザーデイではガチャガチャして聞いてられんくらいにうるさいスコアで僕はすごくがっかりした記憶がある、当時。で、今回は007の原点回帰に合わせたかのように、シンセの比率はぐっと減り、オケ中心に。思えばデヴィット・アーノルドのオケアクションスコアなんて久々に聞くからなんだか新鮮だった。やっぱアーノルドはオケだと思うんだけどなぁ。ID4を超えるオケスコアを期待したいね。話を戻して、今回は007が生まれる前の話ということで、完全なメインテーマが全く流れない。匂わせるような曲は流れるけれど。それが功を奏してか、あのテーマが高らかになる瞬間の快感といったら最高だった。でも他に印象に残るテーマがなかったからそれは残念。ダイ・アナザー・デイでなくなってしまってた主題歌をスコアに織り交ぜるやり方も復活してたりして、いいところはたくさんあっただけに惜しいかな。
ただ・・・。
相変わらず尻すぼみなんだよねー。最後のアクションがどうしてあれで終わってしまうのか。それだけがほんとに残念。最後が飛行場だったから完璧な映画なんだけど。これ、ほんと007の悪いところだと思う。いつも最後のアクションがショボい。
でもね、一番最後。やられたよ。あのお約束そこで出すかよって、ね。スターウォーズEP3のラスト並に反則だと思った。あれやられちゃあ、僕はもう何もいえないよ。おなか一杯です。ごちそうさまでした。
・・・そういや今作から配給がソニーに変わったからか、デジモノが全てソニー製品だったよ。そこまで徹底するかよ、ってくらいに。
映画：★★★★☆
音楽：★★★☆☆
お約束：★★★★★
ラスト：★★★★★
Over all：★★★★☆
