ダイ・ハード4.0を見る。

Live Free Or Die Hard (Score)

今年だと一番。今のところ。最高だった。


ダイ・ハードと言えばやっぱり一作目の印象が強くてね。
最後の落ちていくシーンとか、すげぇ鮮烈なかんじで。
小学生の頃見たから、かもしれないけど、
僕の中ではダイ・ハード=アクションの傑作、であり、
ブルース・ウィリスダイ・ハードなのだ。
(僕はなんだか残酷描写が多い気がする2はあまり好きではない。
これまた小学生の頃見たから
そんな印象持ってるだけなのかもしれないけど。
2の終盤で犯人の一人が飛行機のエンジンに巻き込まれるシーンなんかは
インディジョーンズ2作目の砕石機並にトラウマ。)

最後に作られた3は12年前だってさ。小学生の時、映画館に見に行ったわそういや。
当時はまだかわいかったから、オープニングのいきなり爆発シーンでビビった記憶アリ。
いや、今も十分かわいいけど、僕。

正直に言うと、過去のダイ・ハードについては、面白かったなぁーとか、
3ガロンと5ガロンで4ガロン作るにはどうしたらいいか、とかその程度の記憶しかなかったりして。
ということで、今回の感想はダイ・ハードラブな人とは違った感想になってるのではないかと、
そんな気がします。


で、今回、何がよかったかって、
僕がさんざん去年嘆いていて、そして夢見ていたことが現実になったから。
*参考
http://d.hatena.ne.jp/dokodaka/20060626/p1
http://d.hatena.ne.jp/dokodaka/20060614/p1
http://d.hatena.ne.jp/dokodaka/20060608/p1

今回のダイ・ハードはやりすぎてる。そのやりすぎが本当に気持ちいい。
だってあんた、車が地面にいるのに、
そこから暴走させて宙に浮かせて、飛んでるヘリに命中させるんですよ。あーーー最高。
どう考えても物理法則無視してるようなことしかやってない。
だがそれがいい

最近のアクションムービーは、「かっこつけ」なのか「リアル志向」なのかは知らないけど、
どうも煮え切らないアクションが多い。
あともう一歩、ここで。。。ここで爆発させろよ!!!!
というところで、アクションシーンが終わってしまう。
僕は断じてそういうアクションをアクションだと認める気はないんだけど、
どうやらこれが2000年代以降の流行なようで。


しかし、今回のダイ・ハードは見事にその流行に逆らってくれた。超時代錯誤。
だがそれがいい


開始10分くらいで、第1アクションシークエンス。その後も30分とあけることなくアクションの連続。
息をつかせるまもなく、という表現があるけれど、この映画は本当に息をつかせることもなく、
ずーーーっとアクションを連続させる。
そのどれもがクリエイティブな見せ方で、しかもやりすぎだった。
ここまでやらなくていいよって、さすがの僕も言いたくなるくらいにやってくれたから、
本当に本当に僕は感激した。どれくらい感激したかって、
大真面目なアクションシーンで爆笑し、そして嬉しくて泣いてしまったくらい、だ。
(僕はすばらしいものを観ると涙があふれてしまう特異体質なのだ。)
今回の主題はサイバーテロ
話の筋としては最近のサイバーテロ物の中ではいい方なんじゃないかな。
さすがに全ての問題をハッキングで解決するのはどうかと思ったけど
こういう映画にツッコミするのはヤボってもんだ。
どう考えても犯人の動機が弱すぎるしね。
あれならムリして動機とか語らなくてよかったんじゃないかなぁ。絶対悪みたいなかんじで。
いやいいんだって、こういう映画なら許されるんだって。
むしろ動機がないからこの映画はクソだとか言うヤツは見なければいい。
最初から選択を間違えてるんだ。
そもそもこんなジェットコースタームービーに、
「シナリオ」とか「整合性」とかを期待するのは大きな間違いで、
期待すべき要素は「ハラハラ度」とか「テンポのよさ」とか「アクションシーンの演出」に尽きる。
今回で多そうな批判は「その程度の目的に大掛かりなテロ仕掛ける必要ないだろ。」とか
「アクションシーンに現実味なさすぎ。」とかなんだろうけど、
そんなとこ批判するならこの映画なんか見にくるな。わかってる話だろうに。
前も書いたけど、そんな批判をするヤツはバカに対してバカと言ってるだけと同じことで、
見たものをそのまま表現するという誰もが言えるようなことしか言えないただのバカだ。
この意味においては、今回のシナリオは上出来と言える。
アクションからアクションへのつなぎもそれなりに必然性があったし、
アクションシークエンスの数もちょうどいい。
これより多かったら飽きるし、これより少なかったら不満だったと思う。
また、いい具合にブルース・ウィリスが危機に陥ってくれるので緊張感もずっと途切れず。
それなりに毎回のアクションで傷を負ってくれるのでそれなりに感情移入できます。それなりに。
で、何より今回凄かったのは、さっきも触れたけど画面の創り方。
さっきのシーンだと台本には「車飛ぶ。ヘリにぶつかる。ヘリ大破。」しか書いてないんだろうけど、
いやしかしここまでエキサイティングに見せますかと久々に身震いした。
そんなシーンが他にも山ほどあって夢のような鑑賞時間だった。
特に最後の高速道路での戦闘機vsトレイラーのシークエンスなんか、
「うおおおおおおおおおおお!!!」って叫びたくなるくらいにすばらしかった。
レン・ワイズマンなんて名前も(アンダーワールドは知ってたけど見たことない)知らなかったけど、
あんたやるねぇ。あんたこそこれからの“本流”のアクション映画の担い手だ!
ごめんよ、ただのB級SF映画の監督だろってバカにしてしまって。
(見てない人にとって「戦闘機vsトレイラーってどんなシーンだよwww」ってかんじでしょうが、
その真相については映画館でぜひ見てくれ!!すげぇから!!!)



ただ、ただ、音楽が非常にクソ。
非常にクソなんて日本語ないけど言っちゃうくらいにクソ。
もともとダイ・ハードは音楽で攻めてる映画じゃないからいいにはいいんだけど、
毎回さ、それなりにあったじゃないですか、音楽が印象に残るシーンが。既成曲だけど。
1作目の第9なんて神がかってる気がするんだけど、どうよ?
(実際、4の日本版のCMでも使ってるし、それなりに衝撃的なシーンだったんでしょう。)
今回は続編モノとかB級アクションを任されることの多いマルコ・ベルトラミ
彼のターミネーター3を以前に聞いたことがあったんだけど、
正直言って全く心に残らなかった。最近の作曲家らしくリズムセクションだけはよくできてるだけど。
今回も心配してたんだけど、予感は的中してしまった。
アタマの中に音楽残ってないもんね。
アクションシーンでも音楽鳴ってるには鳴ってるんだけど、
アクション効果音の轟音のせいで全く聞こえず。


今回のアメリカを手中に収める、みたいなノリは第9が適していると思うんだけどなぁー。


それにしてももうちょっとメロディをかける作曲家を使って欲しかった、というのが率直な感想。
ハンス・ジマー系もいいけど、それだとダイ・ハードがブラッカイマー風味になってしまうだろうし、
難しい選択だけど、何でも屋さんのジェームズ・ニュートン・ハワードがよかったんじゃないかな。
(彼はなんでもそつなくこなせるからそれなりのモノは生み出せてたはず。
ダイ・ハードの世界観を壊さない程度の音楽なら適任でしょう。)

でもここで疑問が。


果たしてこの映画にダイ・ハードの名を冠する必要があったんだろうか。



ダイ・ハードはものすご個人的だけど僕の中では「密室」なイメージがあって、
決して大規模なフィールドを駆け回る映画ではない、と思うんだ。
(3は例外ね。駄作だし。)
1はビルの中で完結したし、2も空港の中で完結したし。
狭い場所で完結している・犯人と同じ空間にいるっていう設定が異様な緊張感を生んだのだろうし、
だからこそダイ・ハードはアクション映画史に残る映画になれたんだろうけど、
今回は全く密室じゃなくて、東海岸を縦横無尽に動き回ってしまう。
そのおかげでアクションに広がりが出たっていう利点もあるけど、
一方でダイ・ハードらしい緊張感ってのは失われてしまったような。
もちろん事件への理不尽な巻き込まれ方とか、
マクレーンが死にそうになりながらマジでダメージ受けてるのに妙に強いとか、
“らしさ”は随所に感じられるんだけどね。
このダイ・ハードである必然性の薄さゆえ、
最初に「ダイ・ハード愛のある人とは違った感想になってる」と書いたわけです。
もしかしたら生粋のダイ・ハードファンは今回のダイ・ハード
「面白いけどこれはダイ・ハードじゃない。」と言うかもしれない。


と、言いつつも久々に満足した映画だった。ブルーレイで出たらそっこー買う。
パイレーツ3やスパイダーマン3と比べると雲泥の差。
売り上げは負けるんだろうけど。



ということでド派手アクションがあれば飯3杯いける、とか
ド派手アクションがあればシナリオなんてどうでもいい、とか
そんな人には超オススメ。今すぐ見に行け。


ダイ・ハード4.0

映画:★★★☆☆
音楽:Bomb!
やりすぎ度:★★★★★
ダイ・ハード度:★★☆☆☆
(死んでもダイ・ハー度とは書きたくなかった。)
Overall:★★★★☆