トランスフォーマー:リベンジを見る。

圧倒的に前作の方が面白い。

確かに映像とかスケールじゃ比じゃないくらい今回の方が凄い。ターミネーターとかスタートレックとか今年の話題作が一挙に色褪せてしまうくらいに凄すぎる。それは決してロボットたちのCGだけ(画面に違和感なく溶け込んでるのは衝撃的)じゃなくて、ほぼ実写でやってる爆発(終盤のバトルシーンはいったいどんだけ火薬使ったんだというくらい爆発のオンパレード。あんなに凄い爆破は見たことがない。)や前回以上にアメリカ軍全面協力なミリタリーなシーン(軍オタはとんでもなく興奮するらしい。)などなど、2時間30分ずーーーーっと呆気にとられるくらい、凄い。何回凄いと言っても足りないくらい凄い。燃えるシーンも前作同様しっかり用意されてるし、コメディシーンも前作比3倍くらいで劇場大爆笑なところが何カ所もある。 (シモネタ大杉だけど)

でも、何かが足りんのです。

この感覚はマイケルベイの大失敗作、アイランド/バッドボーイズ2を見た時の気分と似ています。部分的には好みのところもあるし、凄いには凄いんだけど、全体としてみると、んー、、、なんか“ノレ”ないなぁ。。。というところが。

と、思ったので確認すべく2回目を見た訳です。昼過ぎくらいに見て、その足でそのままレイトショーに向かいました。「いやこの中途半端な印象はIMAXの情報量が多かったせいじゃないか。」と自分に言い聞かせながら。 そう、僕はこの映画を川崎に出来た新しいIMAXシアターで見たのです。

IMAXは凄すぎました。初IMAXだったのですが、もうIMAXのロゴが出た瞬間に既に鳥肌。画面サイズはとんでもねーし(しかもこの後すぐに普通のシアターに行ったのでなおさらそう思った)精彩感もはんぱねーし、コントラストもやべーです。例えるならブラウン管からフルHDプラズマテレビに変わったようなかんじ。これ見たら他の劇場で見る気が失せるくらい、凄い。一見の価値あり。(ただサウンドも売りらしいんだけど、個人的にあのシアターの音のバランスはあまり好きになれなかった。)

ただ、だな、スクリーンがでかすぎ=目に入ってくる情報量が多すぎ&視野角よりスクリーンの横幅が大きい上に、トランスフォーマーは一作目以上に画面がぐっちゃぐちゃになる(ルーカス以上にぐちゃぐちゃで何を見せたいのかという意思が全く感じられない)ということもあり、もはや戦闘シーンとか何やってんだかわからんかった。

ということで、なおさら僕はIMAXのせいにしようと言い聞かせて、いつもの映画館で見ようと思い、2回目を見に行ったのです。

結果、、、感想は変わらずでした。 しかし、一つだけ気づいたことがあります。 この映画、全く緊張感がないんです。だからアクションを見ても全くハラハラできない。主人公を始め多くの登場人物が何回も命の危機に瀕するというのに。
アクションシーンのリアリティ感と没入感というのは、個人的には「ハラハラできるかどうか」にかかっていると思っておりまして、この映画には一切それがないんですな。 ハラハラしようかなぁーと思ったら考えるまでもないくらい直感的に「おいその選択はおかしいだろ」という方向に(ある程度なら気にならないし、むしろ僕はちょっとおかしいくらいの展開が好きなのですが、今回はあまりにおかしすぎ)前フリもなく突っ走り始めたり*1、過剰なまでにコメディが盛り込まれていたり、と緊張感を解く要素が多すぎて、観客がよそ見ばかりしてしまうような展開ばかりなので、「あーーーここで今俺はドキドキしたいのにいいいい!!!」と非常にフラストレーションが溜まりました。(警察とのカーチェイスなんか無意味すぎて興ざめもいいとこ。ほんとこいつはカーチェイスいれないと気がすまねーねんだな、とベイの大ファンである僕もさすがに呆れました。)

ハラハラ感というのはストーリーであったり、演出であったり、音楽であったりいろいろな要素が巧く合わさってこそのものだけど、結局そこに失敗してるんですよ。逆に言えば、前作は奇跡的にこの部分を巧く出来たが故の成功、ということだろうと僕は思っています。

そして、ハンス・ジマーがやるかもしれないと(勝手に)煽られていたわけですが、劇場で聴いている限りは特にジマーが主導的に作曲したんじゃないかというシーンは皆無でした。主題歌を取り入れたスコアはかっこよかったけど、印象的に流れるのがオープニングだけなので、なんだか中途半端な印象があります。あれだけならやらなくてよかったんじゃないでしょうか。まぁ、シナリオ上、NESTが活躍するシーンがオープニングしかないのでしょうがないっちゃしょうがないのである意味シナリオのせいでもありますが、せっかくなんだからラストバトルでもっと活用してもよかったのでは。
で、相変わらずジャブロンスキーはジャブロンスキーのままで、終始弱々しいオケで残念でした。なんだか前作のスコアをそのまま使ったんじゃねぇか(特にラストバトルのバンブルビー活躍シーンは1の市街地戦のオプティマス登場シーンとほぼ同じスコアな気がする。まぁ、これは監督もしくは編集のせいかもしれないのでジャブロンスキーが悪いわけではないかもしれないけど。)というシーンはちらほらあるわ、フォールンのテーマは全く記憶に残らないわ、音楽に迫力はないわで、がっかり。パイレーツなんかは作品ごとに新しいテーマが追加されてしかもそれが印象的(本来的にはテーマが無駄に増えることは好ましくないけれど)だったので毎回聴くのを楽しみにしていましたが、トランスフォーマーはどうもぱっとしない、、、映像は大進化しているのに、音楽は進化せずじゃあ、芸がないってもんってことで次回作こそハンス・ジマー先生の登板を期待しております。

というわけで非常に残念感の残る作品でした。しかし映像だけは凄いのでIMAXで見る価値は十二分にあると思います。70mmフィルム(通常の映画は35mm)で撮影されたピラッドの空撮シーン(ピラミッドを空撮したのはトランスフォーマーが初めてらしい)の凄さは正直、IMAXに行かないと分かりません。あ、ちなみに言うまでもなくストーリーはぐっちゃぐちゃです。もはや論理とか一貫性とかっていう概念があの世界にはありません。

あーしかし、残念だなぁ、、、、

*1:これに比べれば1作目の「キューブを街に隠そう」なんてのは凄く合理的に感じます。