ダークナイトがアカデミーレースからはずれたってさ。

ダークナイトは間違いなく、僕の中ではぶっちぎりの今年一番どころか、マイライフベスト10にも入る傑作中の傑作なのです。
何がいいかって語りだすと、こんなページじゃ語りきれないくらいの良さが詰まってるので、全てを言うことはできませぬが、
今回、意外なところのできのよさは、音楽だったんです。

ハンス・ジマー、と書くと、またあなたはハンス・ジマーの話題ですか、と言われそうだけど、
いかんせん、映画音楽にはまるきっかけがハンス・ジマーだったもんで、しょうがないでしょうに、
と言い訳をしつつも、そう、今回の音楽担当はかのハンス・ジマー(とジェームズニュートンハワード)だったわけです。
ノーランの仕切り直したバットマン一作目でどういう事情かは知らんが、このコンビが今回やりますよーと発表されて、
映画音楽ファンはパイレーツオブカリビアン以来の「ちょwwwジマー自重wwww」でした。
なんでかって、そりゃ二人の作風知ってる人からすれば、コンビをくむ意味が分からんのですよ。
なぜならガチ打ち込みで分厚すぎるオーケストラのジマーと
割と軽快であまり打ち込みをアピールしないハワードなんて作風が違いすぎる。
二人が一緒にやったところで相乗効果なんて産まれっこない、なんて見方が当時は大方だったように記憶しております。
まぁ結果は、その通りで、なんとなく二人がお互いに遠慮してるかんじがあったこともあり
違和感炸裂なかんじが僕にとっては中途半端に感じられたものでした。

で、今回の2作目、(ハワード)と書いた通り、恐らくハワードはハーヴィーデントのテーマくらいしか作ってなくて、
メインどころの多くは(アイディア出し合ったかもしれないが)ジマー主導で進められたであろう作品になってました。
この思い切りがまず成功の要因の一つだろうと思っていますが、(ハンス・ジマーの音楽的な成長が昨今著しいのも注目点の一つ)、
何よりダークナイトの音楽を傑作たらしめているのはモチーフの単純さ、と、音の出しどころの見極めだと思うのです。
見た皆さん、ジョーカーのテーマ、覚えてますか?歌えますか?おそらく多くの人は「うーん、、、」でしょうが、
しかしあの雑音とも言えるキーーンという音を聞けば必ず思い出すはず。
「あ、ジョーカーが出てくる。」って。
例えば踏み切りの音が鳴れば私たちは「電車が来る」と思い、クラクションの音がすれば「車が来た。」と思う。それと一緒。
キーンとなれば「ジョーカーが来る」と私たちは身構えるのです。
単純だから、耳に残るし、物語上もジョーカーが強烈なので嫌悪対象の音として無意識にすりこまれてしまっている。
これって実は相当凄いことで、帝国のテーマがなったからベイダーが出てくる、とかいう次元ではないのです。
なぜなら音楽を作曲したわけではなく、もはや効果音を「創造」してしまったからです。
言うなれば、シューコーという吐息を聴いて、ベイダーが来る、と思うのと同じ次元。
映画の凄まじい出来(例えばジョーカーの造形)から、
キーン→ジョーカーが何かやらかす、という観客の圧倒的恐怖心を強烈に呼び覚ます。これが凄い。
また、モチーフがシンプル故に、いろんなところで使えるわけです。
特に最後のアクションシーンでバットマンのテーマとジョーカーのテーマが絡み合うところは音楽演出の巧妙さもさることながら、
凄まじくかっこよくて、これぞジマーというセンスを見せつけられる瞬間でもあります。
そして音の出しどころ。
たくさんの名シーンがあるのですが、今回はあえてレイチェルの救出シーン。
それまでにアクションシーンは何回かあって、ビギンズのころからあるアクションのモチーフがちょいちょい出てきながらも、
しかし全貌を表すこともなく、淡々と映画は進みますが、
レイチェル救出のシーンで観客が「えーっ!」と思った瞬間完全なかたちで「ドーン」と鳴りだす。
とんでもないアドレナリン噴出スイッチとなっております。
しかし、いつものジマーならピースメーカーばりにずーっと鳴っているのですが、今回、抑えるんですよ!
盛り上げたと思ったらいきなり編成小さくしたり、演奏も抑えたり。
いや、これがね、また緊張感を生むんですよ。
「はやく、はやく」と観客が思ってるところに
ひたすら同じリズムで静かになり続けるので、手に汗握るったらありゃしない。
そう、今回のジマーは「抑える」のです。そしてフラストレーションがたまるころに「ドカーン」と気持ちよく音楽が鳴る。
しかし鳴るといっても鳴りすぎない絶妙なバランス。
そして言うまでもなく最高に音楽的演出がきまっているのは、
ゲイリー・オールドマンが語りながらバットマンがバイクを運転し、ドーンとタイトルが出る瞬間。
辛すぎる役回りを選ぶバットマンへの畏敬と、悲しすぎるハーヴィーデントの末路と、ジョーカーへの言葉にできない恐怖と、
いろんな感情がたまっているところで、そして音楽もためにためた後に、
ジョーカーという緊張からの解放とメインテーマを高らかに放出するあの瞬間。
この瞬間、僕はあまりの衝撃に涙が出たのですが、劇場では大拍手が起こってました。まぁ公開初日だったのでね。

そうもう一つ書いておくべきことがあって、それは先にもちょっと書いたジマーの音楽的な成長の著しさ。
ジマーがハリウッドに来て第一次転換点だったのはおそらく傑作クリムゾンタイドだったように思います。
ご存知の通り90年代はこのスタイルがハリウッドを制覇してしまいました。(最近でもまだ残党がたくさんいる。)
で、それ以来ジマー自身も行き詰まったかと思った作品も多かったのですが、
2003年に第2次転換点を迎えたのでは、と僕は見ています。
きっかけはジマーのベストの一つ、ラストサムライでした。
ラストサムライ以降、ジマーの音は地に足付いた、円熟味の増した音にかわっていきます。
何よりただ鳴らしていた昔に比べれば音楽的完成度が全然違うんじゃないかと思うのです。
例えばパイレーツの一作目は転換前、2作目からは転換後、ですから、
ジマーの作風の変化がわかりやすいサンプルではないかと思います。
そしてパイレーツ3という(音楽だけは)傑作を残し、このダークナイト
細かく書くともっとたくさんあるのですが、全部書くと夜が明けてしまいそうなので、これくらいで。
ハンス・ジマーはこれからの活躍が本当の見所だと僕は強く思います。


ノンアカデミーは残念ですが、まぁこういうタイプの作品はアカデミーでは嫌われるというか、
そんな気がするので別にいいんじゃないでしょうか。
かえってこれでみんなが注目してくれればなおよしかと。



ジマーはこうやって傑作を出してくるから、やめられないんですよ。

『AFRIKA』を聴く。

書くのが久々すぎて、その事実をスルーして始めようとするも、
昔の書き方スタイル忘れたので、しょうがなくこうやって触れてます。
皆様お元気でしょうか。僕は元気です。

で、今回はPS3用ゲームのsoundtrack『AFRIKA』。
スペルミスじゃないです。
このCD、全くノーマークだったのですが、僕のよくいくサイトで話題になっていたので、とりあえず購入。
なんか、とりあえず、とか言って3000円ちょいの音楽をちょろっと買えてしまうあたり、
あぁ僕は今社会人なのだなぁと感慨にふけてしまうのです。
そうそう、僕は社会人になってるのです、今。
聴いてみたらいいのなんのって、良すぎてこんな眠っているブログを無理して起こしてしまうくらい、良かったのです。

日本人に、こんな技術を持った作曲家がいたこと自体、僕には驚き。
CDから聞こえてくる音は、ハリウッドそのもので、だいたいオーケストレーションを聴けば「あぁ日本臭い」とか感じてしまうのですが、
これに関しては全くそういう感触がない。むしろ最近のハリウッドより巧いんじゃなかろうか。
日本臭い、てのはなかなか言語化しにくいのだけど、音が立体的に音が交わらないのですよ、日本人が書くオーケストラというのは。
服部隆之なんかもがんばってはいるんだけど、どうもね。
華麗なる一族はとてもよかったけど、しかしオケの使い方はイマイチでとても残念に思ったのを覚えています。
久石なんか言うまでもなく。久石のオーケストレーションは個人的に大嫌いなので聴いてられない。
あのなよっとしたかんじというか、中身がすかすかなピーマンのようなオケ。

一方でハリウッドの作曲家連中もオーケストレーションが巧いかというとですね、最近これがまた微妙で。
この話になると触れざるを得ないのがハンス・ジマー一家なんだけど、
ジマーがオケに持ち込んだ文法というのは、革命的だったという点で評価されるべきではあるんだが、
やはり、業界全体がそれ一辺倒になってしまうと聴いてる方は面白くない。
生オケのダイナミズムであったり、繊細さをジマーの文法から感じられるかといわれればそういうもんでもなかった。
気づけばゴールドスミスやジョン・ウィリアムズのような、
ダイナミックでありながら繊細なオケを聴ける機会は本当に少なくなってしまっていたのです。

そこへきてこのAFRIKA。もう教科書のようなきらびやかな、ダイナミックそして繊細なオーケストレーション
そう、そうだよ。これぞ王道、これぞオケのサウンドだよ!!
聴いていてこっちが気持ちよくなるくらい、なんという快感なんだこれは。
ハリウッドからは長らく聞こえなかった、まっすぐで正直なメロディ。
僕は「ザ・王道」が大好きなので、このCDに出会えたことが嬉しくてしょうがないのです。
それだけじゃなくこの作曲家、自分で作曲、オーケストレーション、指揮までこなすというのだから驚き。
いや、昔はそれが普通だったんだけど、ポップスから転向したみたいなオケをなめてる輩が多くて、
最近の連中はオーケストレーションさえままならんのですよ。
だからこういう作曲家はとても貴重だし、何よりそれが日本人であることが僕はとても凄いことだと思うし、心の底から期待をしています。
まだこの作曲家である鋒山亘は若いようなので、これからの活躍が楽しみ。

ただ、ですな、教科書のように、と書いた通り、彼の強烈なオリジナリティが全く見えないのです。
というか、作曲家さん、あなたジョン・ウィリアムズのファンですよね?おそらく。
80〜90年代のウィリアムズの音がします。特にフルートとトランペットの使い方。
ただもうウィリアムズ本人がいい曲書けなくなっちゃったので、逆にウィリアムズの文法で新しい音楽が聴けるのは貴重かもしれません。
期待したいからこそ、次回作は絶対個性を見たい。本気で期待してます。あなたは日本のオケの救世主だ!がんばれ!

次世代ビデオはBlu-rayで統一だって、さ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080217-00000000-mai-bus_all

やっと、というべきかの決着。
でも意外と早く決まっちゃったなぁというのが最初に思った印象だけど、
さほど驚かなかったのはやっぱり今年はじめのワーナーBD独占の衝撃が
あまりにも大きすぎたからかな。
パラマウントのときとは比べ物にならない衝撃だったのは、
ワーナーのシェアの大きさもさることながら、やっぱりCESの開会の前日に発表するという、
半ば「泣きっ面に蜂」というかそこまでコテンパンにしなくていいだろw、
とBD派の僕でさえが思ってしまったくらいに、
「酷い」発表の仕方だったから、だ。
なんせあの時はHD DVD関連のカンファレンスが全てキャンセル?になったくらいだったので、
東芝陣営は本当にショックだったんでしょう。
何よりアレ以来、東芝の幹部の方がメディアに露出しなくなったのが
東芝のショックを如実に表してる。
なんせ幹部陣はラスベガスに向かう飛行機の中でワーナーの決断を聞いて、
そのまま日本にとんぼ返りしたそうで。

今回の東芝の捨て身とも言える粘り強さを見ていて思ったことは、
ハードビジネスは特許ビジネスなんじゃないかなということ。
正しく言うなら、その収益のほとんどを特許に頼ったビジネス、ということ。
ハードは儲からなくてもはやソフトの時代、なんてのが最近の流行り文句で、
要はハードウェアの差別化は難しくて価格しか差別性を見出せないから、
安売り競争になってしまい、その結果そこから得られる収益はすずめの涙、という流れ。
ハードウェアの製造で儲けられないなら、
じゃあそのハードの技術を囲い込んで特許化してしまえば、
安定的かつ長期的な収益が見込めるわけで、
考えてみればそりゃその方向に行くしかないでしょ、となる。
となればSONYや松下が規格の盟主にこだわり続けるのもよくわかる。

SONYはおそらくベータから、相当なことを学んだはずで。
(ベータの技術は業務用に生かされたはずなので甘い汁は吸ってるはず??
よくわからんこのへん。)
特にDVDのときは東芝・松下陣営に折れた結果、そのうまみを得られないまま
長い間苦境にさらされていたSONYは信じられないくらいに今回は用意周到に準備をしてた。
社運をかけてると言ってもいいくらいに。
PS3の概要が発表される前からメディアはBDを使うと宣言していたし、何よりMGMの買収。
語りつくされてることだけど、ベータは対応ソフトが少ないのが原因と、
じゃあってことでコロンビアを買収して作ったのがSPEで、
そして今回勢いあまってMGMですよ。
ここまでして勝ちたい、と思うくらいに特許料というのは大きいのかなぁと思うわけです。
まぁ、SONYの場合は儲かる儲からないの前に
「俺が規格を作って世界を作るんだ」という違う動機がありそうだけどw

今回、東芝は大博打にでてた。
なぜってDVDのSONYの時のように東芝は折れるチャンスがあったから。
どうも当時SONY久多良木さんと東芝の誰か(藤井さんかな)の
トップ会談が06年あたりにあったそうで、
そのときにすり合わせができていたら、
妥協案として東芝の特許をいくつか含んだ規格が
出来上がっていたはずなんだよね。
DVDもSONYPHILIPSの特許をいれたせいで、5ギガから4.7ギガになったわけで。
でも東芝はMSにそそのかされてか、
もしくは取り分が少ない妥協案を受け入れたくなくて結局決裂してしまった、と。
そこまでして得たい何かがきっとこのビジネスにはあったんだろうな。

ハードが儲からないと一番理解していたのはもしかしたらSONYかもしれなくて、
今のSONY液晶テレビの戦略は、明らかに儲けようとは考えていなくて、
あくまでつなぎとしかとらえていないのかもしれないと思わせる。
今のSONYはテレビが売り上げで持ち直したおかげで復活したわけだけど、
それを支えた大英断はプラズマの製造をやめて、液晶に一本化、
そしてパネルはSAMSONとの合弁会社から供給する、というものだった。
合弁とは聞こえはいいものの、
要は自社生産じゃなくてSAMSONに丸投げしますということで。
で、そもそもSONYが傾いていたのはたしか、有機ELに期待しすぎた結果、
薄型で一挙に遅れをとったから、だったはず。
で、ここまで遅れたのだから
このフェーズでの勝負はあきらめて来るべき液晶の次の世代で勝負をしよう、
という意思決定が内部でなされたのではないかと
僕は考えているんだけどどうなんでしょーね。
というのもSAMSONのパネルを使ってる分利益率は相当下がっているはずだから、です。
それにあのSONYが理由もなく外の製品を使うはずがないので。
で、結局今有機ELを製品化できているのはSONYだけで、
この勢いを保ったままさらなる大型化・低コスト化・長寿命化に成功すれば、
次の世代のテレビの覇権は必ず握れるはずで、
シャープってそれなんの会社?っていう事態にもなりかねない。
そうすれば有機ELの特許料が入ってウハウハなはずなんですよ。

このとき決断したのはたしか久多良木さんで、
彼の先見性というのは本当にもっと評価されるべきなんじゃないかとつくづく思う。
ちょっと傲慢なのでネットでたたかれまくっていたけど、
PSPPS3のコンセプトは考えれば考えるほど、
そして時代が進めば進むほど、唸るしかない先見性を持ったものであったことが分かる。
それはBDの採用なんていう程度の話なんかじゃなくて、
彼が描いていたPS3を核としたホームエンターテイメントのネットワーク、ね。
PS3は今でも実力をフルに使っていないし、
構想されていたものの半分も実現されていないはずだけど、
これまで信じられないくらいに成長してきたこの機械を見ていて、
なんと夢のある機械だと思うわけです。
我が家ではもしリッピングされたMP3やWAVのアップコンバートに対応してくれたら、
PS3がオーディオプレーヤーの母艦となる予定です。
ついでにWalkmanの転送も対応してくれたらもうPCなんかいらなくなる。
現時点でさえそんないろんなものの代替になってしまうくらい、すごい機械だなぁとつくづく思います。

就職活動中に何度かSCEIにも伺ったことがあるのだけど、
彼らはどうも日本のアップルになりたいみたいなんだよな。
けっ、何言ってんだとアンチソニーとアップルファンの方はいうかもしれないけど、
久多良木さんという希代のヴィジョナリーが会社に残っていたらアップルどころか、
それ以上の会社になれたんじゃないかと僕は思っています。
PS3も出るのがあと3年遅かったら大拍手で迎え入れられていたはずだけど、
いかんせん出るのが早すぎました。
PS3最大の失敗はその価格戦略ではなく、出す時期を見誤ったこと。
僕を含めた一般ピープル久多良木さんの描いたことが全く理解できなかったわけです。
(といいつつ最大の原因は博報堂が広報戦略ミスったせい。
DS&Wii=電通に比べて情けなさ過ぎる。だから博報堂は永遠に電通に勝てないんだ。)

アップルもiPodの成功でもてはやされてるからいいものの、
ジョブズたんも久多良木さん以上に激しい人だわな。

HD化ということではSONY戦略の中でBlu-rayPS3は核にあるはずで、
今回の統一はSONYにとって復活宣言に等しい。
一方、東芝は、こんなに早く決断してくれたのでむしろ傷は最小限に収まったはず。
だって、PS3ビジネスの赤字よりも少ない赤字で済んだんだから、
そんなに大きな問題にはならないでしょう。
ということでこれからHD化を推進する足かせはついになくなりました。
HDコンテンツなんかいらないよ、DVDで十分だろ、なんていってる人もいっぱいいるけど、
HDTV買ってみな。もう後戻りできないはずだから。
BDでオペラ座の怪人を見たんだけど絵も音もすごすぎて度肝を抜かれました。
これでスターウォーズなんか見られると思うと楽しみでしょうがない。
東芝も早く録画機をBDで出してくれないかなぁ。録画機はやっぱり東芝だろ。うん。
ということで、めでたしめでたし。

キングダムを見る。

なんだろう、今年は本当に幸せな年だ。
初夏くらいから衝撃的だった数々のミュージカル、
ショー、テーマパーク、そして3本の映画。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版、ダイハード4.0は
僕的には不作の年であった2006年を吹っ飛ばすには十分すぎたし、
特にこれから何年も付き合い続けるであろう映画、トランスフォーマーに出会えたことは
2007年を久々のビッグイヤーにした。

そして今日、幸運にも4本目に出会った。


キングダムは扱ってる内容から社会派のように受け止められているけど、
僕から見れば非常に良質な娯楽映画だった。
もちろん社会派的な側面も併せ持っているけど、
僕はそれについてどうこう語れるだけの知識はないので、今回ははずします。

オープニングでのっけからノックアウト。
字幕を追っていたのでちゃんとは見れなかったんだけど、
冒頭のサウジアラビア(=キングダム)とアメリカとの関係を
簡単にまとめた映像がかっこよくてそれだけで僕は燃えてしまった。

オープニングで「か、かっけぇ・・・」と思っていた僕を休ませることなくいきなりテロ勃発。
終わったと思って安心してたらもう一発テロ。おい、さすがにびっくりしたよ。

ここまでされてテンションあがらないはずがなくて、
僕はもうガンガンにテンションがあがっていたんだけれども、
その後も息切れすることなくそのテンションがひたすら続く。

僕が燃える大きな要素の一つに仲間との協働があるんだけど、
キングダムは巧く、しかもプロフェッショナル同士の協働を描いていてくれて
僕のボルテージはまたもあがっていく。
グリッドっていうどうしようもないドラマでは、
プロフェッショナル同士の協働が全然描けていなくてそこに僕は腹がたっていたわけだけど、
今回は僕のツボをついてくれる描写が盛りだくさんで満足。

特に最初は有能なのに操作が認められない→上に巧くかけあう→活動が認められるのくだりは、
僕が大好きな流れなので、これまたツボをついてくる。

そして久々に映画で感じたなんとも言えない緊張感。
ここ最近は24で感じることはあったけど映画では起こらなかった感情に僕は興奮した。
インサイドマンのときもちらっと書いたけど、
観客しか知りえない事実と登場人物が知れる事実というのがあって、
今回のラストを飾る高速道路→市街地戦のところは、
このバランスがしっかりとれていたので心臓バクバクもんの緊張感。
さらによいのは、この流れ。
観客が危機のにおいに気づく→車内では誰も気づかず→観客が完全に危機を把握する→
ジェイミーフォックスが怪しいにおいに気づく→他3人気づかず→
ジェイミーフォックスが完全に危機を把握する→ブレーーーキ!!!!
これだけ完璧な流れをやってくれたのでうおおーーー!!!って叫びたくなった。

個人的には狙いすぎなラストがあまり好きじゃないんだけど、興奮しまくった2時間でした。
そう、2時間と短い上映時間も心地よくて最高だね。

1年に面白いと記憶に残る(=僕のツボを突きまくる)映画が4本もあるなんて、
奇跡的に幸せな年だ。
就職前に、すばらしい1年を用意していてくれたようだね、神様は。

ユニバーサルなのでどうせBDでは出ないんだろうけど、DVDでたら買うぜ。
(それまでにBD支持に転向しといてくれよ)

駆け足でまいります。(が口癖の高校の先生がいました。)

dokodaka2007-09-27


と、いうわけで、先のエントリにあるとおり、旅行に行ってきたわけです。
いろいろ書きたいことはあるんだけど、
とりあえずダイジェスト版から。

まずはLA

ダウンタウン
なんもない。
ウォルトディズニーコンサートホールは異様な外観もあって圧巻です。
土日の昼間とか歩いている人がほとんどいないので、
もしかしたら危ないのかもしれません。


ビバリーヒル
買い物したくてもできません。高すぎて。
でも町並みはすばらしく、ここに住みたいと思わせてくれるところ。


・ハリウッド
ハリウッドサイン見ただけで映画ファンはテンションアップでしょ。


・ディズニーランドリゾート
オリジナルディズニーランドは、オリジナルとしての価値しかなく、
正直言って、TDLの方がぜんぜんよいです。
向こうはシンデレラ城じゃなくて、
眠れる森の美女城なんだけどちっこい。ほんとにちっこい。TDLの半分くらいしかない。
ちっこいのは城だけじゃなくてパークもちっこい。
ビッグサンダーとか超しょぼいですよ。

カリフォルニアアドベンチャー(第2パーク)もちっこいので、
こちらは半日あれば十分。
ただSoarin' Over Californiaはすげぇの一言。あれだけでもこっちのパークにはいる価値アリ。
あとタワーオブテラーも日本のより面白いですよ。
(ただフロリダと比べると・・・なんだけど。)

賢い回り方は1日両パークチケットで両パークを行き来することかな。

ただ、ランドの夜のエンターテイメントはどうしてもはずせなくて、
これのためにわざわざいったようなものだった。
Fantasmic!というショーなのだけど、僕はこれを超えるショーを未だに見たことがない。
これを見るだけでもLAディズニーに行く価値はある。
後半はもう涙が止まらなくて号泣。感動しすぎた。
それくらいすばらしいです。

その完成度たるや全ディズニーパークの今までのショーの中で間違いなくナンバー1だろうし、
世界のライブショーとして見ても上位にランキングすること間違いなし。
単なるスケール感で測れない魅力がこのショーにはあります。

フロリダにも同内容のショーがあるけど、圧倒的にLA版が優れていますね。

(ちなみにそれ以外のエンターテイメントについて東京のものと比較すると
東京の方が優れています。
夜の花火もスケールとかアイディアはすごいけど、
ショー構成がカスなので、あまりいいショーとはいえません。)


・ゲッティセンター
美術館ですが、所蔵物より建物が魅力的です。
山の上にあるのでここから見る景色もすばらしく、
LAが一望できます。オススメ。


・ユニバーサルスタジオ
本物のスタジオが見られること以外行くべき理由が見当たりません。
僕としてはなんたらシリーズの4のセットが見れたので感激でした。
映画に魅力を感じない人は大阪ので十分だと思います!


ここからラスベガス


・KA
シルクドソレイユのショー。
これがすごい。ステージが縦になる。
・・・といわれても想像がつかないだろうけど、ほんとにステージが上下左右に動いちゃうのね。
舞台装置が圧巻。
こんなものできるんだと、表現の幅の広がりに感動した。
ただ、シルクがやっている意味があるのかと言われるとナゾ。
ストーリー展開に執着しすぎで、肝心の体技があまり見られない。
シルク以外でもできるだろこのショー。ただラスベガス行くならマストです。
これ見ないなんてラスベガス行った意味が40%くらい薄れます。


オペラ座の怪人
エストエンドで見たけどラスベガスでもっかい。
で、思ったこと。間違いなくラスベガス版が世界一です。
日本のは四季なので論外として、
ブロードウェイ・ウエストエンドよりもショーとしての完成度はラスベガス版のほうが優れています。
ただキャストはウェストエンドのほうがうまかった気がするし、
ラスベガス的な大味感が入ってしまったので、
エストエンド版にある繊細さは消えうせています。
なので僕としては甲乙つけがたい感じです。


・O
シルクで最高といわれているこのショー。
全編かっこよすぎて。
ちょっと腹がたったくらいにかっこつけてたショーだった。
これはもうマストを超えたマスト。
このすごさとかっこよさは言葉で形容しきれない。
もう一度見たい。死ぬまでに一度くらいは見ておくべきショー。
これを見ないとラスベガスに行った意味のうち60%が失われます。
キダムで退屈すぎて寝てしまったくらいの僕が
90分間ずっとエキサイトしていたくらい、すごかった。


ショーとかはまだまだ詳しいことを書きたいので後ほど!

ぱっくつあーの儲け方。

アメリカ旅行に行ってきました。
アメリカに行くにあたって、パックツアーというものをはじめて利用したのですが、
使いようによってはなかなかよいね、パックツアーも。

パックツアーの何がいいかというと、空港からホテルまでバスで送ってくれること、
それからチェックインやら乗り継ぎやらの手続きを全部やってくれる一方で、
現地での予定は自由に組めることじゃないですかね。
海外で車乗り回せるくらいに慣れている人ならうざいだけなんでしょうけど、
僕は海外で車運転したことない上、
今回行ったLAは公共交通機関がそこまで充実していないこともあり、
非常にたすかりました。

海外旅行に慣れてない人なんかはホテル・空港のチェックインをやってくれると、
かなり助かるんじゃないのかな。

ただ、この海外旅行に慣れてない人、このタイプがどうやらパックツアーの鴨になるようで。
(鴨というと言い方は悪いですが・・・)

彼らはホテルに行くバスの中で、現地情報を詳細に話します。
それはそれで助かるのだけど、問題は治安のお話。
アメリカ旅行に行く人のほとんどが気にしているはずなのは治安のお話のはずで、
特に初アメリカの人は不安で不安でしょうがないはず。
彼らはそこを集中的についてくる。

僕が乗ったシャトルの添乗員はとても具体的な被害情報を話しました。
日本人旅行者が顔が変形するまで殴られただの、
追いはぎにあっただの、車椅子で日本に帰国しただの。
さらにはLAのバスは使うのが難しいだの、タクシーに乗ると間違いなくボラれるだの・・・。

で、当然乗ってる人たちは不安になるわけで、解決策を求める。そこで彼らはこういいます。
「うちのツアーを使えば送迎付きだしおいしいとこ回れるので楽しいですよーー。」
そして、シャトルが一つ目のホテルで停止すると、現地社員が続々とバスの中に乱入
その場で「質問を受け付ける」という名目の下、ツアーの契約をとっていく。。
ここで乗客はそれを無視してバスを降りることはできず、
その時間、申し込む意思がなかったとしても
質問タイム終了するまでバスの中にいることを求められる。
ここでうまいなぁと思ったのことが3点あって、それは、
1.残席わずかをアピールする。
2.バスという閉鎖空間を利用している。
3.同じ空間で申し込みをさせるので、みんなだまされてのせられてその場で申し込んでいる絵がほかの乗客にも見える。
残席わずかをアピールすれば、早く申しこまなきゃ、という気分になる。
閉鎖空間にいるので「今この空間以外に申し込むタイミングがない」と強迫観念にかられる。
さらに、みんながその場で申し込んでいるので、
「みんなやってるなら」という安心感と日本人的な協調意識と
1の残席わずかアピールから早く申し込まなきゃほんとに席がなくなる!!という気分にさせられる。

正直、「不安にさせる→閉鎖空間でセールス」なんて
マルチ商法と何が違うんだと言いたくもなるけど、
きっとこれで彼らは利潤を得ているのだろうな、と思った。
安すぎるツアー料金だとおそらく彼らにとってはトントンくらいで、
ほかのオプションツアーをたくさん利用してもらうことで儲けている、というかんじなのでしょう。
それはきっとプリンター本体、シェーバー本体、
ゲーム機本体で利潤を得ようとしないビジネスモデルと似たようなものなのでしょうな。
(ただこっちが問題なのはその売り方なんだけど)

で、僕らはどうしたかと言うと、何も申し込みませんでした。
当たり前じゃないですか、怪しすぎて利用する気もうせますよ、こんな売り方されてしまうと。

結果から言えば、LAのバスはたしかに利用しづらいけど、
周囲に気を配りながら乗っていれば初めてでも全く問題なく、
むしろ交差する通りの名前がバス停の名前になっているので、
地図さえあればロンドンのバスよりも楽。
ロンドンもLAもアナウンスはありませんが、LAは交差する道で全てが分かるようになっているので、
くねくね走るロンドンと比べれば圧倒的に乗りやすい。
しかもバスによっては現在走っている道路をリアルタイムで表示してくれるので、
アナウンスがなくても問題がない。
治安も陽が出ている間に怖い感じがしたことは一回もなかったので、
普通に行動する限りは問題なし。
タクシーは日本人がやっている会社があったのでそこを利用。イエローキャブ乗るより安かったりしてこれもまた問題なし。

ということで脅かされ損というか、とにかくポカーンなパックツアーでした。
でもそれを除けばひじょーに快適でした。
まぁ、僕らが脅威に気づいていなかった可能性もあるんだけどね!!