ハンス・ジマー一門とは。

はぁようやく書ける。

ハンス・ジマーとはこのリンク先からもわかる通り、映画音楽作曲家です。

その前に映画音楽について軽めに触れる。映画音楽が他の音楽と全く異なる点は映像に付けるために作曲しているという点。これを「フィルムスコアリング」という。映像に日本のドラマなんかは事前に作曲しちゃうので、厳密に言うとあれはフィルムスコアリングではない。ハリウッドでは基本的に映像完成⇒作曲作業ということになる(ただスケジュールの都合でこうならないことは多い。けど最低でもラッシュはある。)。

さて、話はもどしてハンス・ジマー

ハンス・ジマーはもともとかのバグルズでキーボードを弾いていました。「Video kills radio Star」が有名なあのバンド。で、そのバンドが解散した後、ディア・ハンターで有名なスタンリー・マイヤーズの下について映画音楽の勉強を始めます。

そしてワールドアパートでデビューを飾り、ダスティン・ホフマンの名演技が記憶に残るレインマンでアカデミーにノミネート。それからは出世街道まっしぐら。日本人はやっぱバック・ドラフトのテーマを一番知ってるんじゃないんでしょうか。あの「料理の鉄人」のテーマ曲です。ついにはライオン・キング(歌だけエルトン・ジョン)でオスカーゲット。さらにはドリームワークスの重役にまで就任しました。

彼の持ち味は独特のリズム打ちとホーンセクション中心のオーケストラスコアです。一度聞けばすぐにわかる特徴的な音は当時あまりない音ということもあってハリウッドに一大旋風を巻き起こしました。そしてジマースタイルはクリムゾンタイドで確立され、ザ・ロックで完成し、ピースメーカーで極限に達しました。最初2作を見ればわかる通り、プロデューサーはかのジェリー・ブラッカイマーです。実はハンス・ジマーを語るのに彼との関係をなくして語ることはできません。

ブラッカイマーとジマーは強い関係を持っています。たぶんクリムゾンタイドの仕事がブラッカイマーのオメガネにかなったんでしょう。今やブラッカイマーの目指すアクション映画にはジマーの音楽が欠かせない存在となっています。ブラッカイマー映画はハデであることが大前提ですが、まさにジマーの音楽はそれです。くっつくべくしてくっついた関係と言えるでしょう。

とここまで書いて、ジマーってすげえじゃんって思った方もいるでしょう。ただし、アンチは非常に多いです。俺は好きですが、映画音楽としてのクオリティはそこまで高くないと思ってます。(ラストサムライみたいに大傑作もあるんですが)。その理由はひたすらに爆音をつけることにあります。音楽がクソうるせえので映画の中の効果音とぶつかりあって映画を台無しにする。まぁブラッカイマーの場合はお祭騒ぎをすることが重要なのでアレでいいんですが・・・。

そして、ここで映画好きなみなさんは気づくことでしょう。「え・・・だってブラッカイマーの映画っつても全部ジマーじゃねえじゃん」て。甘いです。そこがアンチ・ジマーが多い理由の一つでもあります。

King Arthur (2004)
Bad Boys II (2003)
Veronica Guerin (2003)
Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl (2003)
Kangaroo Jack (2003)
Bad Company (2002)
Black Hawk Down (2001)
Pearl Harbor (2001)
Remember the Titans (2000)
Coyote Ugly (2000)
Gone in Sixty Seconds (2000)
Enemy of the State (1998)
Armageddon (1998)

ここ5、6年のブラッカイマー全映画リストです。さて作曲家の名前をいれることにします。


King Arthur (2004)
ハンス・ジマー


Bad Boys II (2003)

トレバー・ラビン


Veronica Guerin (2003)

ハリー・グレッグソンウィリアムズ


Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl (2003)

クラウス・バデルト


Kangaroo Jack (2003)

トレバー・ラビン


Bad Company (2002)

トレバー・ラビン


Black Hawk Down (2001)

ハンス・ジマー


Pearl Harbor (2001)

ハンス・ジマー


Remember the Titans (2000)

トレバー・ラビン


Coyote Ugly (2000)

基本歌でスコアなし。


Gone in Sixty Seconds (2000)

トレバー・ラビン


Enemy of the State (1998)

トレバー・ラビン
ハリー・グレッグソンウィリアムズ


Armageddon (1998)

トレバー・ラビン
ハリー・グレッグソンウィリアムズ


とりあえずトレバー・ラビンとハリー・グレッグソンウィリアムズが多いことに気づくでしょうがこれにはがあります。そして全てに共通項があります。

それは


全員ハンス・ジマーの弟子ということです。


ここでようやくタイトルのハンス・ジマー一門の意味が見えてくるかと思います。ハンス・ジマーは売れるチャンスのない音楽家にチャンスを与える目的で「メディア・ベンチャーズ(現在は改名してリモート・コントロール)」という集団を立ち上げました。先に挙げた作曲家は全員この組織に属しています。マイケル・ベイ監督作も全部この一門の作曲家が担当してますし、ジョン・ウーもほとんどこの一門に頼んでます。そしてハリウッド映画の多くがこの一門に頼んでます。それにはワケがあります。前述したとおり、ジマーはドリームワークスの重役に就任しました。それで政治力が増したというのに原因があります。それからブラッカイマースタイルの映画が90年代後半にブームを迎え、それに相性のよいジマースタイルが好まれたということもあるでしょう。

ここまで見ても「別にアンチになる必要なくね?」とお思いでしょう。たしかにこれだけなら別に問題はないんですが・・・。実は弟子全員がジマースタイルの模倣しかしません。それが最大の問題なんです。どの弟子の作品を聞いてもジマーの臭いがします。臭いだけするだけならまだしもそのまんまなんてのも多々あります。ほとんど全員が同じ音楽を書いてるんです、性懲りもなく。酷いです。最悪。個性なんてあったもんじゃない。そしてジマースタイルの醍醐味は大音量で音楽を鳴らして映画を台無しにすることですが、それも弟子全員に共通しています。台無しにする映画音楽なんて存在し得ないはずなんですけどね・・・。そのおかげで映画音楽そのものが崩壊の危機にさらせれてると言っていい状況が生まれています。映画音楽界の2本の巨大な大黒柱のうち、一本は既に倒れてしまいました。この先の映画音楽界は本当にヤバいことになっています。そしてそのほとんどはジマーのせいです。

もちろん、ジマーの弟子が全員クソというわけではありません。ジョン・パウエルなんかはあまりジマー臭を感じないし、あまり映画は担当しませんがディズニーシーのブラヴィッシーモ!を担当したギャヴィン・グリーナウェイも有望株の一人でしょう。それからアイランドのスティーブ・ジャブロンスキーもです。しかし変わり映えのしないジマースタイルの音楽が大量生産される限り、映画音楽に未来はありません。フィルムスコアリングが機能していない音楽にどうして映画音楽と言えるでしょうか。なんとか気づいてよジマー・・・。

因みにですが、ブラヴィッシーモ!の楽曲について書かれているページを一つだけ見たことがあります。作曲家の名前なんかいれたりして、過去の実績なんかもいれたりしてがんばってましたが、このジマーの弟子という事実について書いていませんでした。はっきり言いますが、ブラヴィッシーモ!の楽曲を語るのに、ジマーとの関係を無視しては何も語ることはできませんよ。火の精のテーマなんかはジマーっぽさ全開ですから。ただジマー臭さが全くない部分あったりして、それらのことを含めて、ブラヴィッシーモ!の楽曲分析が完成します(と思います)。けっこう有名なディズニー系ブログでしたけど、調べ方が浅いですね。と他人を批判して終わります。


あぁこのブログ、内容が浅いなぁ・・・。